2016年06月10日

75は反る

 本日うちの若いもんがA7075の加工で反りに難儀していました。

 反りの問題はこの仕事している限り必ずついて回る永遠の課題であると思います。そういう思いから何度か関連する記事を書きました。当ブログのアクセス解析を見てみると、未だに「反り」だとか「残留応力」だとかの検索で訪れる方がかなりの割合で居ますので、やはり世間一般で多くの方が困っているのではないかと思います。

 自分で言うのも何ですが、過去の記事を読み返してみると当時とは考えが変わっている事もありますし、そうではなくてもニュアンスとしてそれでは伝わらないだろうと思う事も多々あります。

 ですのでそろそろちゃんと纏めないとなぁとは思っているのですが、なかなか新たに記事を書くまでに至りません。

 至らない理由の1つは、自分自身がまだきちんと確認出来ていない事もあって、自信を持って『こうやれば必ず出来ます』と言える所に至っていないというのがあります。それを確認する為にはわざと反ったものを作る事も必要で、それが日々の業務を熟しながらでは難しいのです。

 でも今日その後輩にアドバイスしていて、理屈の上ではこうなるはずと考えていた予想が、ちゃんとその通りになる事を確認出来ました。そんな具合で、別に自分が加工した訳では無いのに、何だか自分の技術がまた一つ向上したような気分になれました。

 そして確信しました。正しい手順でやれば、ちゃんと平らになります。少なくとも機械精度の範囲までは。

 つまりこれはスキルの問題ではなく、プロセスの問題なのです。

 さてそのプロセスを確立するために1つだけ重要なキーワードを紹介します。

 ほぼこれが全てです。

 これ以前に書いたような気がしていましたが、どうやら書きかけでアップしていなかった模様(汁)。

 今ちょっと忙しくて手間がないので詳しいことは何れ書こうと思いますが、まだ暫く先になりそう。それまで興味の有る方は予習しておいて下さい。


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2015年10月02日

タッピング能力

 はじめに断っておきますが、今回も中身が殆ど無いです。ごめんなさい。m(__)m

 さて、毎度おなじみの技術の森にこんな質問が投稿されておりました。


いつもお世話になっております。 自動盤にてRC1/8のタップ加工を検討しております。 メートルネジよりトルク?が必要なのは明白なのですが、果たして 可能かどうかご意見お願いいたします。

因みに材質はSUM24、旋盤はミヤノBNA(モーターは11/7.5Wとなっています。)です。

よろしくお願いいたします。

Rc1/8 タップ加工について [技術の森]


 一般的にはこういった問題に対しては、それまでの経験に基いて可否の判断をしている事と思います。

 今回の場合も回答(1)さんが早速そういった観点から回答されておられます。その内容については自分もまぁ妥当だろうと思います。然しそういった蓄積が無い場合には、一体どの様に判断したら良いのでしょうか。

 通常切削能力が足りるかどうかという事について、モータの動力を基準に判断する事は妥当です。しかしながらタップ加工では他の一般的な加工(旋削、ミーリング、穴あけ等)と異なる特殊な事情があるので、モータの動力で判断する事は適切でないと思います。

 一般的な加工では回転数と送り速度、切込み量といった切削パラメータは任意に決める事が出来ますので、モータの動力に合わせて切削条件(所要動力)を調整する事が出来ますが、タップ加工ではねじのリードに合わせて送る必要があるのでそれが出来ません。またタップ加工では穴の底まで到達したら反転させて戻す必要がありますが、この時止まり穴ですと主軸が反転するその瞬間まで仕事をさせる必要がありますから、例え高速回転で高い動力が出せる主軸であったとしてもそれを活かす事が出来ません。

 従ってタップ加工においては(高速タッピングをさせたい場合を除いて)モータの動力が足りるかどうかではなく、モータのトルクが十分にあるかどうかで判断するのが妥当だろうと思われます。

 では実際にタッピングに必要なトルクというのはどれくらいなのでしょうか。

 全般的な事についてはOSGの技術情報ページより閲覧できますテクニカルデータ『タップ加工 '15.07 改訂版』(PDF 3.91MB)の「7 切削トルク」の章が参考になります。また具体的な値としては同資料の「7.4 管用テーパタップの切削トルク」の図28にSS400とFC250の実験値が載っています。

PipeThread_TappingTorque.png
 

OSG 技術情報 タップ加工 '15.07 改訂版 37頁より

 Pt1/8のSS400の場合を見てみると 25 [N・m]くらいでしょうか。

 他にも TapMatic の「Tapping Torque and Horse Power」という資料にも管用ねじのタッピングトルクを纏めた表があります。

 こちらの資料には 材質:1010(S10C)、タップサイズ 1/8-28 の Maximum Tapping Torque が 160 とあります。これの単位は恐らく [lbf・in] と思われますので換算しますと 約18 [N・m]になるでしょうか。

 SS400とSUM24とを比較すると、SUM24の方が快削ですから、所要トルクはこれらより若干下がると思いますが、これもTapMaticの資料によれば約85%くらいで考えれば良さそうです。

 こんな感じで探していくとそれっぽい数値を見つけ出す事は出来ますが、はたして本当でしょうか?

 一応ここ迄の事は実績値として信用するとして、機械側の能力はどの様に確認すれば良いのでしょうか?

 ここで先のOSGの資料の「7.2 所要動力の算出」の節に“実際には種々の損失等を踏まえると計算値の4倍程度の動力が必要”などというあやふやな記述があります。

 またタップ加工において最近はリジットタップサイクルを使用する事が多いと思いますが、リジットタップでは主軸の回転と送り軸とを完全に同期させる必要がある事から定トルク制御を行っております。そこの制御の事情から本来の許容最大トルクを十分に発揮出来なかったりもします。まぁここらへんは古い制御装置の問題であって最近の物では改善されて来ていると思いますが。

 という訳で機械側のスペックについてもスピンドルの最大トルクの数値をそのまま参照するわけには行かない様な感じですが、どれくらいの安全率を見る必要があるかについてはちょっとよく分かりません。4倍?

 そもそも普段の加工において、こういった所の実績値を確認する事が難しいので仕方がないですね。

 そういう訳なので、結局は経験に基いて判断せざるを得ないのが実情です。


 割りとどうでもいい結論となりましたが、言いたいのはそういう事ではなくて、つまり実際にどうであったかが確認出来れば良いことなので、今後の制御装置には是非ともそこら辺を加工者に伝える手段についても検討頂きたい所です。


posted by antec at 19:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 加工理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月02日

デバリング技術

 随分前にいずれはバリ対策の事も書いていきたいと書いた気がしますが、今日はその辺の事をちょろっと紹介します。

 バリ対策の基本は、何と言ってもバリを出さない事。出てしまったバリを取る方法を考える前に、まず出さない。これが基本です。

 その為には基本的な知識として、バリはどういう所に出やすいかというのを理解しておく必要があります。

  • 刃の抜け側
  • 鋭角稜線

 これだけ。

 他の部分には絶対に出ないという事ではありませんが、出やすいのはこういう所です。ですのでこういう所を無くせばバリも殆ど出なくなります。

 さて、そうは言っても実務の中ではバリを全く出さないように加工する事は難しいので、出てしまったバリを取る方法も考えねばなりません。その時、バリ取りだけを考えているととても大変になりますし、バリ取りの為にあまり工数を割きたくありません。そこで、バリの出方をコントロールするという事が必要になってきます。一言で言うと、

  • バリは取りやすい方に出す

 機械で取るにしても手作業で取るにしても、取りにくい所のバリ取りはコストが掛かるので、加工の順序とか刃の当て方を工夫して、取りにくい所に出さない事を心がけて行くと良いと思います。

 その辺を踏まえまして一例を紹介します。下図の様にねじ穴の抜け側にバリが出てしまった場合、こういう所だとちょっと取りにくくてやらしいですよね。こういう時どうしたら良いでしょうか。

Bur1.jpg
<図1> バリ出た

 こういうバリを発見した時、何とかして取る方法を考えるのは素人です。冒頭にも書いたように、バリ取りの基本はバリを出さない事なので、まずこういうバリが出ない様に加工する方法を考えるのが正しいアプローチです。

 対策はねじ切りの位相を変えてみる。リジットタップならR点を上げ下げしてみる。スレッドミルならねじ切り開始角度を自由にコントロール出来ますね。タッパーとか使ってると中々難しいですが。

 するとこうなります。

Bur2.jpg
<図2> バリ出ない

 これなら何もケアしなくても文句言われません。もしこうした事で今度は上側に出るようになってしまったとしても、下側に出てるよりかは遥かに簡単に取れるのでOKです。

 普段から加工した部品をよく観察していると、バリが沢山出る所と、殆ど出ていない所がある事に気付くはずです。それを上手く利用して、バリを取りにくい所にバリの出ない方向を合わせると、辛いバリ取りから開放されてみんな幸せになれるんじゃないでしょうか。


posted by antec at 10:55 | Comment(4) | TrackBack(0) | 加工理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月09日

適切な刃数とae

 お久しぶりです。だいぶ閑散としてきましたが皆様如何お過ごしだったでしょうか。

 唐突ですがスパイラルエンドミルにおいて軸方向の適切な切込み量はACPを基準に設定すれば良い事は以前に書きましたが、ではそういうのが出来ない時にはどうしたら良いんでしょうか。例えば加工深さが浅い時とかスローアウェイの工具を使う時などはACPを1に近づける事が不可能ですよね。その場合、他の部分で調整する事は出来るんでしょうか。

 半径方向の切込み量が小さい時には、工具のどの刃も被削材に触れずに空転している時間が生まれます。こういう時の切削音は叩くような感じになってあまり良くないのは何となく分かりますよね。では切削幅を増やしていって常にどれかの刃が削りっぱなしになるようにすると、実際に負荷変動は抑えられるのでしょうか?

 こういうのは一応昔からフライスの教科書にはフェースミルを題材にして「同時切れ刃数」がどうのこうのという内容の事が書かれておりまして、まぁ要するにそれです。

 具体的に何がしたいかというと、工具が一回転する間に受ける切削抵抗の変動がどんなもんなんだかを可視化し、それが刃数や切削幅でどう変化するのか比較し、変動の少ない条件を探してみようという事です。切削抵抗の変動幅が少ない方が加工が安定するだろうという、至極単純な理由からです。

 ゆくゆくはねじれ角等も考慮してエンドミル系の工具全般をカバーしたい所ですが、とりあえず面倒臭かったので一旦それは置いておきます。高送りカッタなどであれば特に問題は無いと思いますし。

想定モデル

  • 刃先に掛かる接線方向の力は「切屑断面積×比切削抵抗」だろう。
  • ねじれ角を無視すれば、切屑断面積は「軸方向切込量×切屑厚み」だろう。
  • 比切削抵抗は切屑厚みが変化すると変わるらしいので(*1)、一応それも考慮する。
  • 同時切れ刃数が2以上となった場合にはそれぞれの刃に掛かる力を総合する。

 こんな感じの事を考えて、とりあえず5°刻みくらいで計算して、切削している刃の分だけ足してみればグラフ化出来んじゃね?と考えました。

 刃数はよく使いそうな2〜6枚刃として、径方向の切込み量を変化させながら、それぞれの切削抵抗の変動の仕方を見比べてみようかなという事で描いて並べたグラフが次のものです。

HighFeed_CuttingForce_Graph.gif
図1 負荷変動の様子(想像)

 ちょっと紙面の都合でアニメGIFにしてしまったので環境によっては見辛いかも知れませんがごめんなさい。詳しく見たい時にはGiamとか使って必要なコマだけじっくり眺めて下さい。

 一応比較的負荷変動の少ない所というのは無くは無さそうですが、スパイラルエンドミルで丁度いいACPにした時の様な訳には行かなさそうですね。

 まぁちゃんと確認していないのであまり鵜呑みにはしないように。


posted by antec at 23:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 加工理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月18日

切込量と負荷の関係図

 さて今日もまたちょっと横道に逸れるんですが、前回のエントリに載せた日立ツールさんの表をしげしげと眺めていたら何かちょっと感銘を受けまして。

 例えば何か基準となる加工条件がありながら、その通りではなくちょっと切込み量などを変えたい場合に使えそうだなーとか。

 でも残念な事にカバーしてる範囲が少し狭いと思う。ソリッドエンドミルの場合、荒取りでも2Dくらい突っ込む事はよくあるので、1Dまでというのは少々物足りなく感じます。それに解像度の面でも少し粗いのが残念です。

 もう一つの問題は、切削速度・送り速度が一定で切込み量だけが変わった場合の切削抵抗合力というように載ってますが、普通切削条件を決める場合には径方向の切込み量を変えたらそれに合わせて送り速度や切削速度も調整するので、そうした場合にあの表では合わなくなってくるように思いました。

 そこであれをリスペクトして、加工条件をセコツールズさんのこの表に沿って調整した場合のものを作ってみようと思った次第。

Engagement-table.png

セコツールズ マシニングナビゲータ
総合カタログ フライス工具2012 (22 MB) 599頁

 この表の事はこちらの記事にもう少し詳しく書いてあります。といっても刃当り送りに関してだけですが。


諸注意

  • 被削材によって傾向は異なります。図の作成に当たって比切削抵抗の算出に使う指数は一般的な鋼を想定して mc=0.25 としています。詳しくはサンドビックさんの資料などを参照下さい。
  • 何も検証していないのでどこまで信用できるものなのか作った本人でさえ分かっていません。あしからず。

 という訳でまず最初に上表に従って刃当り送りと切削速度を調整した場合の負荷等高線グラフ。

Load-Contour-Graph_VF-Opt.png
図1 刃当り送りと切削速度を調整した場合の負荷等高線

 負荷の等高線なので同じ色の所は大体同じくらいの負荷ですよって事です。此処で言う「負荷」とは所要動力、あるいは所要トルク的な物を指します。従って工具の突出し量とかは一切考慮していません。なので例えばこのグラフで同じ負荷であっても突き出し量が増えると曲げモーメントが大きくなって折損するとかいう事態は起こり得ます。また機械側のスペックも全く考慮していないので、主軸回転数の変更に伴う出力の変化にも注意が要ります。

訂正 2013.04.19

 当初「負荷」を“所要動力、あるいは所要トルク的な物”と書きましたが、下2つのグラフはそれでも良いのですが、このグラフに限っては間違いですね。回転数を変えているので。

 使い方ですが、正直言ってあまり考えていません。

 何となく思いつくのは、例えばカタログの標準条件に軸方向1.0D、径方向0.5Dの肩削りのものが載っていたとして、加工上の都合で1.5D突っ込みたいときに径方向をどれくらいに落とせばとりあえずその標準条件と同等の負荷で済むかといった際に、上のグラフを追っていくと大体0.2Dくらいかなーとかそんな感じ?その時の回転・送りはセコツールズさんの表に従って刃当り送りをカタログ値の約1.5倍、切削速度は1.1倍(1.35/1.2=1.125)くらいにする。

 また軸方向は変えず、径方向の切込み量を減らして負荷を半分にしたいといった場面では、先程の1Dx0.5Dの例だとシアンの上の方なので等高線の4目盛弱。その半分だから2目盛弱くらいと見て0.1Dくらい、てな感じで見ていけば良さそう。たぶん。グラフが間違ってなければ。勿論この場合も切削速度と送りを調整する。セコさんの表で50%のと10%のとを比較して刃当り送り2倍の切削速度1.25倍といった具合。

 因みにこの時主軸回転数の増加に伴ってモータ出力も増加する場合、ロードメータは半分以下を指すと思われる。例えば0.5Dの時の所要動力が5kWでロードメータが50%を指していたとして、0.1Dにした場合の所要動力は半分の2.5kWになるけどロードメータは20%を指すといった具合。この場合はどちらかと言うと安全寄りになるから良いけど、逆に切込み量を増やして回転数が遅くなる場合には要注意。

 まぁそもそも負荷を半分に減らしたいとかって考えて調整する場面がそうそう無いような気がするけど。

 あと、絶対値は様々な要因で変わってくる為にあまり当てにならないので、あくまで相対的な指標としての使い方を想定しています。つまり同一機械、同一工具で切込み量を変えた場合というのを基本的な対象として考えています。


 次に刃当り送りだけ適正に調整し、切削速度は変えない場合の負荷等高線グラフ。

Load-Contour-Graph_F-Opt.png
図2 切削速度一定で刃当り送りのみ調整した場合の負荷等高線

 これをどういう場面に使うかはあまり考えていないけど、主軸の最高回転数に達していて調整の余地が無い場合とか??


 最後に送りも切削速度も変えない場合の負荷等高線グラフ。

Load-Contour-Graph_Const.png
図1 切削速度・送り速度共に一定の場合の負荷等高線

 基本的には日立ツールさんの表をもう少し範囲と解像度を拡大しただけの物だけど、前回の記事に書いたように僕の使ってる計算式と日立ツールさんのとでは誤差がある事が判明しているので同等とは言えません。似たような物というか下手なトレースというかそんな感じ。

 切込み変えたら回転・送りも変えろと言っておきながらこれを載せるのは、切削関与角一定のツールパスが作れない場合に、その切削関与角の変動に伴う負荷変動がどれくらいあるのかといった事が分かるかも知れないと思って。そもそもその切削関与角の変動範囲をどうやって調べるのか知らないけど。

 まぁ情報として役立たずなものは捨てれば良いだけなので、たとえ意味無さそうな物でも無いよりはマシじゃないかなくらいに考えています。

 .....

 そんな訳で何か上手い活用方法があったら教えて下さい。

謝辞

 最後に、この2D等高線グラフを作成するにあたってググって見つけたこちらのサイトのチャートテンプレート(rainbow3DContor.crtx)を利用させて頂きました。お陰様でクソ面倒臭ぇ作業が随分と楽になり助かりました。篤く御礼申し上げます。

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posted by antec at 18:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 加工理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする