2017年01月22日

ポジドライブ

 先日故障した3次元測定機は無事(?)コントローラユニット交換で復帰しました。が、ちょっと不満がありまして。

 部品交換なので当然あちこちのねじを外す事になりますが、この機械に使われているねじは主にポジドライブ(PZ1)とトルクス(T10)、それにヘックス(サイズ様々)ですが、問題はポジドライブ。日本ではあまり見かけませんが、IKEAの家具などで知ってる方も多いんじゃないでしょうか。欧州の製品では結構見かけると思います。

 ポジドライブ(Pozidriv)は、フィリップス(いわゆるプラスねじ)の改良版のようなもので、ビットが差し込まれる溝をストレートにしてカムアウトを抑える工夫がされたものです。更に改良した物にスパドライブがありますがここでは割愛します。

 ポジドライブの十字穴形状はJISでは JIS B1012-1985 にて『Z形』として規定されています。フィリップスねじは同規格の『H形』。ポジドライブのねじには十字の溝の間に斜めの筋が入っているのが目印となっています。

Screw-PZ1.jpg

 ポジドライブとフィリップスとの間に互換性はありません。ポジドラのねじに+ドライバーを入れるとグラグラで合いません。そのまま無理やり回せば、きつく締まっていなければ回せなくはないですが、直ぐにねじの十字溝が広がってしまいます。せっかくフィリップスよりカムアウトし難くい筈なのに、適切なドライバーを使わないと却って逆効果となってしまうので要注意です。逆もまた然り。

Driver-PZ1-PH1.jpg
左がPZ1で右がPH1、共にVessel

 何も知らない素人ならまぁ仕方がないと思いますが、作業に来た方は間違いなく正規のサービスエンジニア。なのにポジドライブが何なのかも知らないようで、ドライバーセットの中にもポジドライバーは入っていないようでした。全くどういう社員教育をしているんでしょうね?

 というわけで無事動作はするようになりましたが、ほぼ全てのねじの頭が傷んでしまいました。あ〜あ。

タグ:工具

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2016年09月22日

裏面取り工具

 φ5のキリ穴に両側C0.5の指示があるんだけど、立ち壁がすごく邪魔。

 一応斜めに工具突っ込めばボールエンドで加工することも出来るんだけど、B軸のストロークの関係で(まぁストローク足りても主軸との干渉が避けられないだろうけど)工程分けなきゃならないのでやっぱり裏面取りかなぁと思ってこんな工具を買いました。

MC0505C20LA90_tool.jpg
Carmex MC0505C20LA90 MT8

 カーメックスの裏面取りカッターのロングリーチバージョン。φ5で全長105という、内心どこに使うんだよと思っていた物ですが、まさか自分で使う事になろうとは。ちなみに案外安い

 昨今ではこの手の(仲間内では刃の形から算盤玉と読んでいます)裏面取りカッターが各社から出ていますが、その中でもカーメックスは結構早くから発売されていた気がします。ラインナップが充実していて価格も良心的なので個人的にとてもお気に入りの1つです。

 そんなわけで加工した物がこちら↓。突き出し50mm。何とか取れました。

MC0505C20LA90_work.jpg
裏面取り

 という訳で裏面取り工具も各社様々なので、サイズに困った時の為にそれっぽい物を片っ端から集めてみました。普段使っている物が追加工しても何とも成らないときには素直に他社製品も探してみるともしかしたら何か見つかるかも。

算盤玉(ソリッド)

スローアウェイ

ダブテイル

球型

 きりがない。


 ※大体直リンクなのでそのうちみんなリンク切れになるでしょうけどあしからず。

タグ:バリ 工具

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2016年07月13日

X-Feed

 そんな訳でDC53の塊もあとちょっとになりました。スローアウェイな感じの工具はあんまり上手いこと行きませんでしたが、超硬ソリッドなエンドミルは結構頑張ってくれてます。

 色々工具集めたので実際に使ってみなくちゃねという事で、今回は超硬ソリッドな高送りカッタを使いました。これです↓。

6PDRS.jpg
京セラ 6PDRS080-060-08

 写真が使用後の物で申し訳ありません。京セラの6PDRS [PDF:27MB]という型式の物ですが、元はHanita X-Feed 70N7 [PDF:778KB]という高硬度鋼用複合ラジアスエンドミルです。

 昔から使いたかったのに如何せん高価なので中々使う機会がありませんでしたが、ついにその日がやって参りました!

 さて、カタログ上は67HRC(68HRC)まで対応を謳っている製品ですが、京セラのカタログには何故か52HRCまでの条件しか載っていません。工具メーカーとしての仕事を放棄してはいけないと思います。

 仕方がないのでHanita(Kennametal)のカタログから調べると以下の様な条件が載っていました。

被削材 D2 62HRC、 工具型式 70N708003MT

加工条件 V70(S2785), fz0.2(F3342), ae55%, max-ap0.27

Hanita_A07-179_High-Feed_EN page 4 より

 まぁそんなもんかなという感じなので、とりあえずいつもの様にカタログ条件を信じて加工してみようと思います。

 因みに予算の都合でφ6のMHDHを箱買しましたが、それで加工しようと思うとちょっと時間がかかり過ぎてしまいます。例えば今回加工する部品の荒取りに掛かる時間を比較するとこんな感じ。

工具6PDRSMHDH645MHDH645
サイズφ8xR0.83φ6x12φ8x16
回転数 [rpm]278553004000
Vc [m/min]70100100
送り [mm/min]334212001400
fz [mm/刃]0.20.0380.058
ap [mm]0.25912
ae [mm]4.40.120.16
切屑排出量 [cc/min]3.71.32.7
切削距離 [m]281453262
加工時間(CAM上)1H 13M3H 58M1H 53M
加工時間(実績)1H 23M--

 計算上の切屑排出量の割にスクエアエンドミルによる加工時間が遅いですが、これは加工するワークが曲面形状の為に、突っ込んでぴろぴろ削った後の緩斜面を駆け上がって削っている所が能率低下を招いている為です。そういう形状だとやはり等高線加工の方が無駄が無くて良い感じですね。

 ほんでまぁ計算時間よりちょっとオーバーして1時間23分加工した刃先の様子はこんな具合でした。

6PDRS_Cutting-Edge.jpg
加工後の刃先の摩耗具合

 逃げ面摩耗幅は大きい所で約0.06mmでした。もう少し使えそうですね。

 また切屑はこんな感じでした。

6PDRS_Chips.jpg
終盤の切屑

 機械の中が紫色に染まってとても官能的でした。

感想

 まず何よりも加工音が結構静かで快適でした。1時間ちょい加工しても痛みは少ないですし、同サイズの高硬度用6枚刃スクエアエンドミルに比べても能率的ですし、加工後のコレットの痛み(フレッティングコロージョン)という点でもスクエアエンドミルによる肩削りより少なかったです。

 これでもう少しリーズナブルだと実に使い易いんですが、そこだけ何とか成らないもんでしょうかね?本当ならもうちょい太い(φ12くらい)のを使いたいのですが、予算的に無理です!

 やっぱりHanitaから仕入れるのは止めて、京セラさんが自分で作った方が良いと思うんですよね。

 因みに国産だと三菱マテリアルさんからも同種の高硬度用複合ラジアスエンドミルが出ていますが、こちらも結構高いんですよね...

  • 6PDRS080-060-08 定価¥22,000
  • VFFDRBD0800 定価¥18,900

 あと三菱のが個人的に気に食わない所は、製品紹介ページではSKD11 60HRCのφ6寿命比較としてV70(S3700)、fz0.4(F5920), ap=0.3mm, ae=1.5mm(MRR=2.664 [cc/min])という頑張った条件でやって380m削ったぜ!他社の10倍!(この従来品Aってのが70N7っぽく見えます)とかやってるのに、カタログに載せてる加工条件は被削材:55〜62HRCとしてV40, fz0.15, ap0.24, ae3(MRR=0.936 [cc/min])という実にしょぼい条件なんですよね。こういうのって何なんでしょうね?

 という訳でもうちょっとリーズナブルな製品にこういうのが有ります。

 HPMT HI-FEED SWEEP-MILL G86[PDF:1.1MB]

 日本の代理店は有限会社関西工機さんです。因みにぐぐるこんなページが引っかかるのがちょっと気になります。


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2016年07月08日

HRC60の壁

 どういうわけか無垢の焼入れ鋼(DC53 HRC61)をしこたま削らなくてはならない事になり、荒取りの工具をどうしようか悩んでいました。いつもなら荒〜仕上げまで超硬ソリッドを使うのですが、今回ちょっと量が多いので出来るだけ工具費を抑えながら能率もそこそこで行きたいなと好き勝手な事を考えておりました。

 過去にはSecoのミニマスターやタンガロイのDoFeed Mini(EXN03)、日立ツールのRH2Pなどを使ってあれやこれやしていましたが、HRC60弱ならそれで行けるんですが、60を超えてくると中々しんどいです。

 先日参加した京セラさんのセミナーでちょっと相談しましたところ、サンプル出すのでチャンレンジして下さいとの事で高送りカッターを送って頂きました。MFH25-S25-10-2T、インサートはSOMT100420ER-GM PR1535。早速使ってみましたがあえなく撃沈、見事に割れました。

 次にタンガロイの高送りカッタ(EXN03R020M20.0-04 + LNMU0303ZER-MJ AH3035)が何故か転がっていたのでHRC59のSKD11で実績の有った条件で削った所、開始数分で刃が溶けました。京セラの様に欠けたりはしませんでしたけど。

 SKD11とDC53でこんなに違う物なのかなぁ?それとも硬さの違い?

 こうなってくると残るは日立のRH2Pくらい。でも過去の実績からタンガロイでアレだとこっちでもちょっとしんどそうな気配。もう仕事受けてしまったし、材料は全て焼き上がってる様だし、まいったなぁと思いました。

 話の成行で別の商社の方にも焼入れ鋼沢山削りたいんだけどと相談したところ、サンドビックのデモ機有るんで試して見て欲しいとの事。サイズ幾つか有るそうなのでコロミル390のφ20x3枚刃を借りました。インサートはR390-11 T3 16M-PM GC1010。

 念の為切削条件について伺った所、とりあえずカタログ信じて加工してくれとの事で、載っていたのはHRC59 最大切屑厚さ 0.07〜0.12〜0.2、切削速度130〜125〜120との事。切込みくらいは自分で考えよって感じであまり具体的には書いてありませんでした。

 本来こういうのは肩削りで使うんでしょうけど、形状的にはなだらかな3D曲面なのでノーズR大きめにして等高線加工で行ってみようと思いR1.6を手配して居たので、ap0.4、ae8.0として、hex0.1からfz0.3としました。Vc125からS1990、F1790。

 とりあえず開始早々刃先が真っ赤になったのでやっぱりVc125は早過ぎるんじゃないの?と思い、オーバーライドを60%まで落としました。それで暫くいい感じで削っていたので様子を見ましたが、20分くらい頑張った所でちょっと切削音が変わりました。多分チッピングが出たのでしょう。そのまま様子を見ましたが結局30分くらい経った頃にコリンという音がして欠損しました。

 オーバーライド60%にして30分くらいという事は、カタログ条件はここでもやっぱり15分寿命なのでしょうかね?

 先の2社の結果と比較してみるとかなり頑張った様にも思いますが、仕事としてはこれでも商売に成らないので他の方法を考える事にしました。と言ってももうスローアウェイな感じの工具でこれと言った物が無いので、手持ちの超硬ソリッドの中から探すしかありません。

 で結局普通に日進のMHDH645で負荷制御したら難なく削れました。φ6x12突き出し25、S4800、F1000、ap12.0、ae0.12。突っ込んでぴろぴろ削って駆け上がるので中仕上げの負担も少なくていい感じ。大体3〜4時間くらい削ってもまだ大丈夫そうな感じ。ただちょっと能率悪いのが難点。

 本当はもう少し太い径を使いたいんだけど、サマーキャンペーン(名前変えて一年中やってるそうですが)対象がφ6以下限定なんですよね。

所感

 ずっと前から感じている事ですが、焼入れ鋼を削るには比較的刃がシャープな物を使わないとダメな気がします。旋削するときも自動盤用のシャープエッジの物の方が、ホーニングの施された高硬度材用の物より遥かにすんなりしかも長寿命で削れますし、超硬ソリッドのエンドミルも基本的にスクイ角は0〜ややネガであっても刃先はシャープです。

 京セラの高送りが上手く行かなかったのもやはりホーニングが大きすぎる感じがしますし、タンガロイのも一番使われる凹切れ刃の所のスクイがネガ過ぎる気がします。その点コロミル390のインサートは結構シャープなのが良かったんじゃないでしょうか。インサートのスクイ角は+10°もありますし、ホーニング幅も小さめ。

 焼入れ鋼の加工では背分力が大きいため、欠損に耐えるようスクイをネガにしたり刃先にチャンファーホーニングを施したりしますが、そういうので良い結果が得られた事ってあまり無い気がします。特にHRC60を超えてくる場合には。

 という訳で次は例の6枚刃ソリッド高送りカッターで行ってみようと思います。能率的にはアレが一番なんじゃないかと思うのですが如何せん価格が高すぎるのだけは何とかして欲しい所。

 それとやっぱりツールパスですね。例え等高線加工でも負荷制御。今回そこまで条件出し出来ませんでしたけど、もう少し工夫すればもっと上手くやれたんじゃ無いかという気がします。要点は工具への入熱対策と思っていて、その為に必要なのは切削関与角を一定以下に保てるかどうかという所。

タグ:工具 難削材

posted by antec at 23:02 | Comment(2) | TrackBack(0) | 工具 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月25日

ジェットストリームアタックしたら

 とあるメーカーさんから工具(ISOインサート)のサンプルを貰ったので試している所。実務の中で使いながら様子を見ているのでもう少し時間が掛かりそうですけど中々良さそうな感じ。

 それはそれとして切屑を眺めていたらどこかで聞いた事のあるような切屑が採れたので記念撮影をしました。

Chip_Stream-Jet-Bar.jpg
<図1> ストリームジェットを浴びた切屑
Chip_Jet-Stream-Attacked.jpg
<図2> ジェットストリームアタックを受けた切屑

 機械も加工条件も同じ。違うのはボーリングバーで、上のはタンガロイのストリームジェットバー[PDF:1.8MB]を使った時の物で、下のはそれと京セラのをパクって作った自作内径用ジェットストリームアタックを付けて加工した。

 両方共同じ内部給油。吐出圧は6MPa。何故かリリーフバルブが開いてしまって7MPaまで上がらない。

 もともと市販のボーリングバーのオイルホールが期待したよりも効かない気がしたのが、このボーリングバーを自作した理由の一つですが、一応それなりには違いがあるっぽいですね。

 この違いによって切屑処理性が大幅に変わるという微妙なラインになるケースはそんなに多くないので、実際問題使っててありがてぇと思う事はそんなに無いかも。


posted by antec at 18:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 工具 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする