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2016年07月08日

HRC60の壁

 どういうわけか無垢の焼入れ鋼(DC53 HRC61)をしこたま削らなくてはならない事になり、荒取りの工具をどうしようか悩んでいました。いつもなら荒〜仕上げまで超硬ソリッドを使うのですが、今回ちょっと量が多いので出来るだけ工具費を抑えながら能率もそこそこで行きたいなと好き勝手な事を考えておりました。

 過去にはSecoのミニマスターやタンガロイのDoFeed Mini(EXN03)、日立ツールのRH2Pなどを使ってあれやこれやしていましたが、HRC60弱ならそれで行けるんですが、60を超えてくると中々しんどいです。

 先日参加した京セラさんのセミナーでちょっと相談しましたところ、サンプル出すのでチャンレンジして下さいとの事で高送りカッターを送って頂きました。MFH25-S25-10-2T、インサートはSOMT100420ER-GM PR1535。早速使ってみましたがあえなく撃沈、見事に割れました。

 次にタンガロイの高送りカッタ(EXN03R020M20.0-04 + LNMU0303ZER-MJ AH3035)が何故か転がっていたのでHRC59のSKD11で実績の有った条件で削った所、開始数分で刃が溶けました。京セラの様に欠けたりはしませんでしたけど。

 SKD11とDC53でこんなに違う物なのかなぁ?それとも硬さの違い?

 こうなってくると残るは日立のRH2Pくらい。でも過去の実績からタンガロイでアレだとこっちでもちょっとしんどそうな気配。もう仕事受けてしまったし、材料は全て焼き上がってる様だし、まいったなぁと思いました。

 話の成行で別の商社の方にも焼入れ鋼沢山削りたいんだけどと相談したところ、サンドビックのデモ機有るんで試して見て欲しいとの事。サイズ幾つか有るそうなのでコロミル390のφ20x3枚刃を借りました。インサートはR390-11 T3 16M-PM GC1010。

 念の為切削条件について伺った所、とりあえずカタログ信じて加工してくれとの事で、載っていたのはHRC59 最大切屑厚さ 0.07〜0.12〜0.2、切削速度130〜125〜120との事。切込みくらいは自分で考えよって感じであまり具体的には書いてありませんでした。

 本来こういうのは肩削りで使うんでしょうけど、形状的にはなだらかな3D曲面なのでノーズR大きめにして等高線加工で行ってみようと思いR1.6を手配して居たので、ap0.4、ae8.0として、hex0.1からfz0.3としました。Vc125からS1990、F1790。

 とりあえず開始早々刃先が真っ赤になったのでやっぱりVc125は早過ぎるんじゃないの?と思い、オーバーライドを60%まで落としました。それで暫くいい感じで削っていたので様子を見ましたが、20分くらい頑張った所でちょっと切削音が変わりました。多分チッピングが出たのでしょう。そのまま様子を見ましたが結局30分くらい経った頃にコリンという音がして欠損しました。

 オーバーライド60%にして30分くらいという事は、カタログ条件はここでもやっぱり15分寿命なのでしょうかね?

 先の2社の結果と比較してみるとかなり頑張った様にも思いますが、仕事としてはこれでも商売に成らないので他の方法を考える事にしました。と言ってももうスローアウェイな感じの工具でこれと言った物が無いので、手持ちの超硬ソリッドの中から探すしかありません。

 で結局普通に日進のMHDH645で負荷制御したら難なく削れました。φ6x12突き出し25、S4800、F1000、ap12.0、ae0.12。突っ込んでぴろぴろ削って駆け上がるので中仕上げの負担も少なくていい感じ。大体3〜4時間くらい削ってもまだ大丈夫そうな感じ。ただちょっと能率悪いのが難点。

 本当はもう少し太い径を使いたいんだけど、サマーキャンペーン(名前変えて一年中やってるそうですが)対象がφ6以下限定なんですよね。

所感

 ずっと前から感じている事ですが、焼入れ鋼を削るには比較的刃がシャープな物を使わないとダメな気がします。旋削するときも自動盤用のシャープエッジの物の方が、ホーニングの施された高硬度材用の物より遥かにすんなりしかも長寿命で削れますし、超硬ソリッドのエンドミルも基本的にスクイ角は0〜ややネガであっても刃先はシャープです。

 京セラの高送りが上手く行かなかったのもやはりホーニングが大きすぎる感じがしますし、タンガロイのも一番使われる凹切れ刃の所のスクイがネガ過ぎる気がします。その点コロミル390のインサートは結構シャープなのが良かったんじゃないでしょうか。インサートのスクイ角は+10°もありますし、ホーニング幅も小さめ。

 焼入れ鋼の加工では背分力が大きいため、欠損に耐えるようスクイをネガにしたり刃先にチャンファーホーニングを施したりしますが、そういうので良い結果が得られた事ってあまり無い気がします。特にHRC60を超えてくる場合には。

 という訳で次は例の6枚刃ソリッド高送りカッターで行ってみようと思います。能率的にはアレが一番なんじゃないかと思うのですが如何せん価格が高すぎるのだけは何とかして欲しい所。

 それとやっぱりツールパスですね。例え等高線加工でも負荷制御。今回そこまで条件出し出来ませんでしたけど、もう少し工夫すればもっと上手くやれたんじゃ無いかという気がします。要点は工具への入熱対策と思っていて、その為に必要なのは切削関与角を一定以下に保てるかどうかという所。

タグ:工具 難削材
posted by antec at 23:02 | Comment(2) | TrackBack(0) | 工具 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも更新を楽しみにしております。

ダイジェットで高送りカッターが出てますので
いかがでしょうか。

ダイジェットのワンカット70(HRC70まで削れるエンドミル)と同じコーティングが、
その高送りカッターに乗りましたので評価していただきたいです。

QMマックスとかQMミルという商品です。
ぜひ試してみてください。
Posted by おりゅう at 2016年07月11日 12:27
お世話になります。
ダイジェットの奴はサンドビックを持ってきた商社が得意なので相談したのですが、商社の方の判断で今回サンドビックになりました。
もう一度交渉してみてデモ機出して頂けたら試してみたいと思います。

今加工している金型がLR有るうちの片側なので、トライ結果を見て反対側一式も来る予定です。順調に行って来月初頭くらいのはずですので、それまでに工具選定や加工方法等を煮詰めて行きたいなと思います。
Posted by antec at 2016年07月11日 12:42
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