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2016年02月12日

RFO機能

 私の担当の機械ではないですが、ブラザーの5軸機をいじくっています。普通ブラザーのタッピングセンターは対話で使う事が多いと思いますが、この機械はGコードでしか動きません。5軸機の対話を開発するのはなかなか大変なんだそうです。そういう面ではMazakは良くやっていますよね。

 Gコードベースと言ってもブラザー独自の制御装置なので、慣れ親しんだFANUCとは色々と勝手が違って戸惑います。キーの配置が違う所とかも地味に効きますね(汁)。

 素敵だなと思ったのはノンストップATCのG100ですね。これはなかなかよく出来ています。あとマクロの処理も結構速い気がします。暇が出来たら前に測った奴と比較してみたい所。

 逆に残念なのはストローク配分が致命的にクソ。10年くらい前の5軸加工機ブームの頃ならまだ分かりますが、この時代に出す機械とはとても思えません。あとMDIが1行だけなのも地味に使い辛いですね。マクロ呼べませんし。

 異なる点は多々ありますが基本的には良く似ているのでセットアップする立場としては助かりました。マクロも大体同じで動きますし。THENが使えないのはちょっと残念ですが。そういやMazatrolでも使えませんでしたね。特許か何かの絡みなんでしょうか?

 ところで5軸加工機なので当然3+2軸の割り出し加工に必要な機能もあります(オプションです)が、これがなかなかの曲者です。取説にはこんな風に書いてあります。

ROF-Manual.png
3.7.7 ロータリフィクスチャオフセット機能(G54.2)

 次のページに使い方の説明があります。

3.7.2.2 指令形式

ロータリフィクスチャオフセット指令

指令形式  G54.2 Pn

n: 基準ロータリフィクスチャオフセット番号(1〜8)

ロータリフィクスチャオフセットキャンセル指令

指令形式  G54.2 P0

〜〜〜

注意書きぐちゃぐちゃ

〜〜〜

プログラム例(NC言語)

N1 G90 G54 G00 X0 Y0 Z200. A0. C0.
N2 G54.2 P1
N3 G00 A-45.
N4 G01 X2. F1000
N5 G00 A-60. C270.
N6 G54.2 P0

『CNC-C00 プログラミング説明書(NC)』 より

 簡潔で素晴らしい。いつもダラダラと冗長に書いてしまうので見習いたいです。

 さてこの簡潔な説明で使い方分かりましたでしょうか?僕は何言ってるかよく理解出来ませんでした。

 それで本日その使い方を教わりました。手順としてはこんな感じです。

  1. まずワーク座標系原点(G54〜59、G54.1 Pn)には回転軸の中心座標を入れるのだそうです。ワークの原点ではなくて。
  2. 次に、基準ロータリフィクスチャオフセットの設定画面(下図)で、先程登録した回転軸中心からプログラミング原点(ワーク原点)までの相対距離(XYZ)を登録します。こちらが実質的なワーク原点座標に。登録は8個まで出来ます。なお基準角度の欄はMコード指令によって位置決めする方式のインデックスの場合に使用するもので、本機の様に制御装置から角度指令出来る機械では使用しません。
  3. 同じくそこに計算対象軸を設定する欄があるので、対象とする回転軸を登録します。この機械はA軸とC軸を搭載していますから普通ならA,Cにしますが、プログラミングスタイルによってはA軸のみにした方が便利な場合があるので使い分けます。というか後述する理由によりA軸のみとして使うしか無い様な気もします。計算対象となっていない回転軸は回しても原点の移動は計算されません。
  4. ROF-Setting.jpg
    基準ロータリフィクスチャオフセット設定画面
  5. 準備が整いましたら取説のプログラム例に有るように、加工プログラムの中でまず基準ワーク座標系(G54など)を指令した後に、G54.2 Pnで登録した基準ロータリフィクスチャオフセットを有効にします。
  6. あとはA軸C軸の角度を指令すると、回転軸中心からの距離と角度から自動的にワーク原点を移動して位置決めしてくれるという感じです。

 分かりましたか?ちょっと分かりづらいですね。

 やっていることはFANUCのG68.2などとそんなに大きく違いませんが、普段ワーク原点を登録する所に回転軸の中心座標を入れ、ワーク原点はロータリフィクスチャオフセット画面で、回転軸中心からの相対距離を入れるという所が実にバカらしくてやってられません。どうして態々逆にしてしまったのでしょうか。

 ワーク原点は素直にワーク座標系に登録し、回転軸中心の座標をロータリフィクスチャオフセットの専用画面に入れる(どちらも機械原点からの絶対座標で)という事は出来なかったのでしょうか?もしかしたらこういう所もどこかのNCメーカーの特許に引っかかったりして、どうしてもそれを避けねば成らない事情が有ったのかも知れませんが、とても使いづらいです。

 まぁ旋削の出来る5軸加工機なので、ワーク原点は常にC軸中心だよという場合でしたらZ軸の入れ方の違いだけなので然程気にならないかも知れません。


 さてここで問題です。5軸加工機なので回転軸は2軸有りますよね?A軸とC軸。それぞれの中心は完全に一致しているのでしょうか?違いますよね。どこの機械メーカーでも出来るだけ一致するように組み立ててはいますが、数μmの誤差はどうしても出てしまいます。それはブラザーも然り。

 FANUC 31iでしたらパラメータ N19703〜19705にそのオフセット量を登録する事で、2つの回転軸の偏差も加味して座標変換してくれますが、通常のワーク座標系にはそういう風に入力する欄が無いので、結果A軸中心かC軸中心のどちらか片方の値を登録する事しか出来ません。つまりA軸←→C軸間の偏差はこのロータリフィクスチャオフセット機能では補正出来ないのです。

 一応ワーク原点をC軸中心に置き、ロータリフィクスチャオフセットの計算対象軸をA軸のみにしておけばA軸←→C軸間の偏差の影響は受けなくなると思いますが、そんな風に使い方を縛らないで欲しいものです。

 5軸加工機ではなくチルトテーブル型の複合加工機だからそれで良いんだという言い分があるとしても、この機能自体はこの機械専用の物ではないですよね?

 先程書いたように、ワーク座標系にはワーク原点を、ロータリフィクスチャオフセット画面には回転軸中心を入れるやり方なら、全ての回転軸の座標を入れられるようにすれば良いのでそういう問題は発生しません。ワーク座標系も従来通りで良いです。この方がよっぽど素直だと思うのですが...

 無理矢理利点を探すと、インデックスユニットが複数ある時にそれぞれのユニットの中心座標を個別のワーク座標系に登録する事で対応出来るので、単一ユニットの回転軸中心しか登録出来ない仕様よりは優れています。勿論この機械にはそんなユニットは搭載されていませんが。

 他にG68.2と異なる点としては、座標系の方向が機械座標系に固定されている所。そのため機械の軸構成に合わせたプログラミングをする必要があります。まぁこれは軸構成の異なる機械にプログラムを移す事が無ければ大した問題では無いと思いますが。どうせ5軸のポストは機械毎専用に作りますし。


 といった感じですが世間様はこの仕様で満足しているのでしょうか?どちらかと言うと量産部品向けの機械なので多少の使い辛さは気にしないのでしょうか。段取りはともかく精度管理だって面倒だと思うんですがねぇ。

 僕はこの仕様はちょっと我慢ならないので、10年程前の31iの筈なのに何故か傾斜面加工指令(G68.2)が無かったロボドリルの為に作ったマクロを移植しました。担当者もこっちの方が分かりやすいと言っておりますし、精度物やるときにも実は普通のG68.2よりも結構便利な点があります。

 あとはタッチセンサーによる自動計測がかなりゴミ仕様なので、そちらのマクロも移植してやれば大体僕仕様に出来上がりそうです。

 メーカー純正の計測サイクルと自作マクロのどちらを使うかは担当者の好みに任せますが、こちらも採用して貰えるように頑張って使い易い物に仕上げたいと思います。

posted by antec at 23:45 | Comment(12) | TrackBack(0) | 工作機械 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近ブラザーのM140X1が良いのかなって気になり調べていました。フィクスチャーの入力が独特みたいですね。私も最初にワーク座標で刃物を持ってくるのでそこから動かすのは危ないと思いました。となると
G91G28Z0
G10L21P1X50.Y0.Z-100.A0.C0.
G54.2P1
G43.4H1Z100.0
こんな感じで角度振りが8個だと少ないので書き換えて使う感じになるのでしょうか?

10年程前に作ったマクロとは
YA,ZA,XB,ZBの回転中心(機械原点からの距離)を測定し、そこからマクロで角度と座標系を指定しG54.1P1-48に書き込んで使うのでしょうか?この場合トラニオンでないと加工平面をZ軸に対して垂直に配置出来ないのでG68.2のような機能が欲しいところですよね。

でもこの機械が定価で1000万円なので欲しいと思っていますが、工具、ワーク自動測定や追加M信号(油圧、空圧治具)などはPLCでするようになるのでしょうか?

http://www.brother.co.jp/news/2013/mx1/index.htm




Posted by 初心者 at 2016年05月26日 13:29
基準ロータリフィクスチャオフセットに入れる値はテーブル旋回中心から見たワーク原点までの距離なので、M140の場合基本的には1つの品物を加工するのに必要な「基準RFO」は1つで良いです。割り出し角度毎に基準RFOを設定しなければならない分けではありません。なので8個で足りないという事は特に無いと思います。
割り出し角度をNCから直接令出来ないインデックス(Mコード指令で割り出すタイプ)の場合には足りなくなる恐れがありますし、整合性の面からもG10で書き換えて使う方が良いかも知れません。
M140では基本的にそうする必要は無いと思います。

もしかしてそういう事ではない?


「10年前に作ったマクロ」は仰るようにテーブル回転後の原点シフト量を追加ワーク座標系に書き込んで一時的にそちらへ切り替えて使う物ですが、原点シフトだけでなく座標回転もさせられるので、機能的にはG68.2とほぼ同じ事が出来ます。もともと31i-A5なのにG68.2が未搭載だった頃のロボドリルで、G68.2と同じ事が出来る様にと作った物ですので。
また更に柔軟な使い方も出来るような拡張も成されています。

『ワーク原点は必ずC軸中心上』という制約を受け入れられるのなら、ブラザー純正のRFO機能でも然程問題は無いと思います。


工具長測定、ワーク自動測定については一応専用の計測サイクル(Gコード)も用意されてはいますが、正直言ってもの凄く使い難いと思います。
例えばワーク自動測定については、なんと単軸の端面測定が出来ません。そういうレベルです。
うちではこちらも計測マクロを自前で作って使用しています。まぁこれもロボドリル時代の遺産だったりしますが。


油圧、空圧治具についてはご推察の通りPLCで組む必要があります。
それ用にPLCのマニュアルも標準で付属してきますがその他はオプションです。どんな物があるかはカタログをご参照下さい。
Posted by antec at 2016年05月26日 21:57
> 『ワーク原点は必ずC軸中心上』という制約を受け入れられるのなら、
> ブラザー純正のRFO機能でも然程問題は無いと思います。

補足しますが、上記の制約があると困るようでしたらG68.2乃至それに変わる様なものをマクロか何かで対応する必要があると思います。

その辺りはCAMやポストとの兼ね合いもあって、作業者が特に不便を感じない方法であれば何でも良いとは思いますが。
Posted by antec at 2016年05月27日 08:18
色々説明ありがとうございました。
ブラザーのカタログでは測定機器はお客様手配との事でしたのでメトロール、ブルーム、レニショーなどのメーカーや工具長測定の無線、有線で配線が異なるのでPLCなどが個別に必要なのかと思ってました。オプションに破損検知があるようでしてA軸を90度傾けたあたりにカタログではついていたのですが(メトロール製?)、これ工具長測定にも使えるのではないかと思ってますが、どうなのかなって感じです。工具長自動測定するスペースが他にない気もします。C軸周りは加工エリアですし、設置するにしても鉄板のネジ止めのように見えますね。

同時5軸だともっと素晴らしいのでしょうけど同時4軸なのでハースのG107 円筒補間のようなものが欲しかったけど旋削機能にあるかもですが。

今年ブラザーの新機種(1年に1機種)が出るはずなのでC00からD00になれば機能もあがるだろうし、同時5軸が出るかもですね。
Posted by 初心者 at 2016年05月27日 15:01
>ブラザーのカタログでは測定機器はお客様手配との事でしたので...

そう言えばそうでしたね。
ワーク自動測定はBLUMで良ければメーカーの方で付けて頂けるとの事でした。RENISHAWでもOKだったかも知れませんが失念しました。その2社でどちらかを選んでくれと言われた記憶はあります。個人的には今までBLUMを使った事が無かったのでBLUM選びましたけど、中々良いと思います。

工具長測定はご推察の通り、そのメトロールのセンサーが使えます。測定マクロ自体は納入時には入っていませんが、うちに設置・操作説明に来てくれたブラザーの方がその場で雛形のマクロを作って行ってくれました。
因みにこのメトロールのセンサー、めちゃくちゃ安いので絶対に付けておいて損はしません。測定子が小さいのがちょっと難点ですが。


個人的にはA軸の振りを逆にしてY軸ストロークの配分を考えなおして欲しいです。剛性をあまり損なわず有効ストロークを増やすには、奥側で加工した方が良いと思うんですけどね。
それに加工領域の問題だけでなく、旋削工具用のダブルプランジャーが邪魔な事や、クーラントの掛かり、段取り時の接近性など、改善される事は多いと思うのですが。
加工している所は見難くはなりますが、そもそも眺めている必要はありませんし。


>今年ブラザーの新機種(1年に1機種)が出るはずなのでC00からD00になれば機能もあがるだろうし、同時5軸が出るかもですね。

そういう法則があるのですね。それは知りませんでした。どんなのが出るか楽しみですね。
Posted by antec at 2016年05月27日 20:11
http://www.brother.co.jp/product/machine/m140x2/index.htm

何が変わったのか判りませんがX2になったようですね。
Posted by 初心者 at 2016年06月17日 14:24
個人的にはA軸の振りを逆にして

この部分が大きく変わっているようですね
120°から−30°になっています。

X1は5°から−95°でしたので。
Posted by 初心者 at 2016年06月17日 14:30
情報有難うございます。

カタログダウンロードしてみたところ、Y軸の振り分けやZ軸の方も見直されているようです。
http://tma6c.up.seesaa.net/image/M140X2.png

これはかなり良いんじゃないでしょうか。

A軸の振りを逆側にすると、専用の旋削ツールも逆勝手を用意しなくては成らなくなるのでどうかな?と思っていましたが、よくやってくれましたね。
Posted by antec at 2016年06月17日 21:07
よく見たら主軸端〜テーブル上面が405→455と広がっていますが、Z軸ストロークは305で変わらずなのですね。
A軸ストロークが95°→120°と拡張されたので、本来ならその分余計に下まで下がってこなければいけないのに、ちょっといただけませんね。

テーブル上面がA軸中心より下がっていれば良いのですが、このカタログではよく分かりません。
BT30なのであまり長いツールは使いたくないですから、Z軸ストロークはある程度余裕が欲しいです。
Posted by antec at 2016年06月17日 21:45
テーブルの面はA軸中心から30mm下がっているみたいですね。カタログ末尾に図面がありました。

対してZ軸は50mm上がっているので、差し引き20mmですか。
現状でもちょっとストローク足りないな〜と感じるのでこの20mmはちょっと残念な感じ。
ロボドリルみたいにZ軸ストローク拡張してくれてればよかったのに。
Posted by antec at 2016年06月18日 08:22
テーブル上面から主軸端面までが150から455なので50ミリX1より上がってて、テーブル上面からA軸中心までが30ミリ下がっているので、A軸を90度倒して加工する際は20ミリ分助かると言う事でしょうか?治具にするかチャックを付けるかで50から100程はすぐ無くなりますし、MSTのスマートグリップなんか付けるとホルダと刃物で150ミリもすぐ無くなりますが、A軸を90度以上倒してA軸センター付近を加工する時は少し心配な感じですかね。

X2になって価格が下がると良いのですが。
旋削付きが必要無いと判断出来ればロボドリル+日研かLEHMANNの2軸を購入予定です。
Posted by 初心者 at 2016年06月18日 15:08
うちはあまり大きな物を加工しないので、A軸中心〜主軸端までがX1よりも20mm遠くなってしまった事の方が残念に思います。大きな治具を載せる所では助かるのでしょうけど。
この辺は市場調査して決めた事でしょうから、うちみたいな方が少数派なのかもしれませんが、「A軸が120°まで振れるようになって裏側からの穴あけが出来ます」と謳うなら、それ相応に下まで降りてこいよというのが個人的な意見。


次のロボドリル(α-DiB5)にはADVモデルが追加されるそうで、標準モデルよりZ軸ストロークが大きく拡張されていますので、付加2軸を付けるならこちらが良いかと。コスト的な所でメリット無くなるかも知れませんが。
http://www.ozawatools.com/?product=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%8A%E3%83%83%E3%82%AF-%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%AB%EF%BC%88%E5%BE%8C%E7%B6%99%E6%A9%9F%E7%A8%AE%EF%BC%89%CE%B1-%EF%BD%84%EF%BD%89%EF%BD%82%EF%BC%95

やはりですね、必要な方のストローク(傾斜軸で振る側)には余裕が無いと仕事し辛いです。
Posted by antec at 2016年06月18日 18:03
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