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2015年10月02日

タッピング能力

 はじめに断っておきますが、今回も中身が殆ど無いです。ごめんなさい。m(__)m

 さて、毎度おなじみの技術の森にこんな質問が投稿されておりました。


いつもお世話になっております。 自動盤にてRC1/8のタップ加工を検討しております。 メートルネジよりトルク?が必要なのは明白なのですが、果たして 可能かどうかご意見お願いいたします。

因みに材質はSUM24、旋盤はミヤノBNA(モーターは11/7.5Wとなっています。)です。

よろしくお願いいたします。

Rc1/8 タップ加工について [技術の森]


 一般的にはこういった問題に対しては、それまでの経験に基いて可否の判断をしている事と思います。

 今回の場合も回答(1)さんが早速そういった観点から回答されておられます。その内容については自分もまぁ妥当だろうと思います。然しそういった蓄積が無い場合には、一体どの様に判断したら良いのでしょうか。

 通常切削能力が足りるかどうかという事について、モータの動力を基準に判断する事は妥当です。しかしながらタップ加工では他の一般的な加工(旋削、ミーリング、穴あけ等)と異なる特殊な事情があるので、モータの動力で判断する事は適切でないと思います。

 一般的な加工では回転数と送り速度、切込み量といった切削パラメータは任意に決める事が出来ますので、モータの動力に合わせて切削条件(所要動力)を調整する事が出来ますが、タップ加工ではねじのリードに合わせて送る必要があるのでそれが出来ません。またタップ加工では穴の底まで到達したら反転させて戻す必要がありますが、この時止まり穴ですと主軸が反転するその瞬間まで仕事をさせる必要がありますから、例え高速回転で高い動力が出せる主軸であったとしてもそれを活かす事が出来ません。

 従ってタップ加工においては(高速タッピングをさせたい場合を除いて)モータの動力が足りるかどうかではなく、モータのトルクが十分にあるかどうかで判断するのが妥当だろうと思われます。

 では実際にタッピングに必要なトルクというのはどれくらいなのでしょうか。

 全般的な事についてはOSGの技術情報ページより閲覧できますテクニカルデータ『タップ加工 '15.07 改訂版』(PDF 3.91MB)の「7 切削トルク」の章が参考になります。また具体的な値としては同資料の「7.4 管用テーパタップの切削トルク」の図28にSS400とFC250の実験値が載っています。

PipeThread_TappingTorque.png
 

OSG 技術情報 タップ加工 '15.07 改訂版 37頁より

 Pt1/8のSS400の場合を見てみると 25 [N・m]くらいでしょうか。

 他にも TapMatic の「Tapping Torque and Horse Power」という資料にも管用ねじのタッピングトルクを纏めた表があります。

 こちらの資料には 材質:1010(S10C)、タップサイズ 1/8-28 の Maximum Tapping Torque が 160 とあります。これの単位は恐らく [lbf・in] と思われますので換算しますと 約18 [N・m]になるでしょうか。

 SS400とSUM24とを比較すると、SUM24の方が快削ですから、所要トルクはこれらより若干下がると思いますが、これもTapMaticの資料によれば約85%くらいで考えれば良さそうです。

 こんな感じで探していくとそれっぽい数値を見つけ出す事は出来ますが、はたして本当でしょうか?

 一応ここ迄の事は実績値として信用するとして、機械側の能力はどの様に確認すれば良いのでしょうか?

 ここで先のOSGの資料の「7.2 所要動力の算出」の節に“実際には種々の損失等を踏まえると計算値の4倍程度の動力が必要”などというあやふやな記述があります。

 またタップ加工において最近はリジットタップサイクルを使用する事が多いと思いますが、リジットタップでは主軸の回転と送り軸とを完全に同期させる必要がある事から定トルク制御を行っております。そこの制御の事情から本来の許容最大トルクを十分に発揮出来なかったりもします。まぁここらへんは古い制御装置の問題であって最近の物では改善されて来ていると思いますが。

 という訳で機械側のスペックについてもスピンドルの最大トルクの数値をそのまま参照するわけには行かない様な感じですが、どれくらいの安全率を見る必要があるかについてはちょっとよく分かりません。4倍?

 そもそも普段の加工において、こういった所の実績値を確認する事が難しいので仕方がないですね。

 そういう訳なので、結局は経験に基いて判断せざるを得ないのが実情です。


 割りとどうでもいい結論となりましたが、言いたいのはそういう事ではなくて、つまり実際にどうであったかが確認出来れば良いことなので、今後の制御装置には是非ともそこら辺を加工者に伝える手段についても検討頂きたい所です。

posted by antec at 19:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 加工理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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