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2013年04月18日

切込量と負荷の関係図

 さて今日もまたちょっと横道に逸れるんですが、前回のエントリに載せた日立ツールさんの表をしげしげと眺めていたら何かちょっと感銘を受けまして。

 例えば何か基準となる加工条件がありながら、その通りではなくちょっと切込み量などを変えたい場合に使えそうだなーとか。

 でも残念な事にカバーしてる範囲が少し狭いと思う。ソリッドエンドミルの場合、荒取りでも2Dくらい突っ込む事はよくあるので、1Dまでというのは少々物足りなく感じます。それに解像度の面でも少し粗いのが残念です。

 もう一つの問題は、切削速度・送り速度が一定で切込み量だけが変わった場合の切削抵抗合力というように載ってますが、普通切削条件を決める場合には径方向の切込み量を変えたらそれに合わせて送り速度や切削速度も調整するので、そうした場合にあの表では合わなくなってくるように思いました。

 そこであれをリスペクトして、加工条件をセコツールズさんのこの表に沿って調整した場合のものを作ってみようと思った次第。

Engagement-table.png

セコツールズ マシニングナビゲータ
総合カタログ フライス工具2012 (22 MB) 599頁

 この表の事はこちらの記事にもう少し詳しく書いてあります。といっても刃当り送りに関してだけですが。


諸注意

  • 被削材によって傾向は異なります。図の作成に当たって比切削抵抗の算出に使う指数は一般的な鋼を想定して mc=0.25 としています。詳しくはサンドビックさんの資料などを参照下さい。
  • 何も検証していないのでどこまで信用できるものなのか作った本人でさえ分かっていません。あしからず。

 という訳でまず最初に上表に従って刃当り送りと切削速度を調整した場合の負荷等高線グラフ。

Load-Contour-Graph_VF-Opt.png
図1 刃当り送りと切削速度を調整した場合の負荷等高線

 負荷の等高線なので同じ色の所は大体同じくらいの負荷ですよって事です。此処で言う「負荷」とは所要動力、あるいは所要トルク的な物を指します。従って工具の突出し量とかは一切考慮していません。なので例えばこのグラフで同じ負荷であっても突き出し量が増えると曲げモーメントが大きくなって折損するとかいう事態は起こり得ます。また機械側のスペックも全く考慮していないので、主軸回転数の変更に伴う出力の変化にも注意が要ります。

訂正 2013.04.19

 当初「負荷」を“所要動力、あるいは所要トルク的な物”と書きましたが、下2つのグラフはそれでも良いのですが、このグラフに限っては間違いですね。回転数を変えているので。

 使い方ですが、正直言ってあまり考えていません。

 何となく思いつくのは、例えばカタログの標準条件に軸方向1.0D、径方向0.5Dの肩削りのものが載っていたとして、加工上の都合で1.5D突っ込みたいときに径方向をどれくらいに落とせばとりあえずその標準条件と同等の負荷で済むかといった際に、上のグラフを追っていくと大体0.2Dくらいかなーとかそんな感じ?その時の回転・送りはセコツールズさんの表に従って刃当り送りをカタログ値の約1.5倍、切削速度は1.1倍(1.35/1.2=1.125)くらいにする。

 また軸方向は変えず、径方向の切込み量を減らして負荷を半分にしたいといった場面では、先程の1Dx0.5Dの例だとシアンの上の方なので等高線の4目盛弱。その半分だから2目盛弱くらいと見て0.1Dくらい、てな感じで見ていけば良さそう。たぶん。グラフが間違ってなければ。勿論この場合も切削速度と送りを調整する。セコさんの表で50%のと10%のとを比較して刃当り送り2倍の切削速度1.25倍といった具合。

 因みにこの時主軸回転数の増加に伴ってモータ出力も増加する場合、ロードメータは半分以下を指すと思われる。例えば0.5Dの時の所要動力が5kWでロードメータが50%を指していたとして、0.1Dにした場合の所要動力は半分の2.5kWになるけどロードメータは20%を指すといった具合。この場合はどちらかと言うと安全寄りになるから良いけど、逆に切込み量を増やして回転数が遅くなる場合には要注意。

 まぁそもそも負荷を半分に減らしたいとかって考えて調整する場面がそうそう無いような気がするけど。

 あと、絶対値は様々な要因で変わってくる為にあまり当てにならないので、あくまで相対的な指標としての使い方を想定しています。つまり同一機械、同一工具で切込み量を変えた場合というのを基本的な対象として考えています。


 次に刃当り送りだけ適正に調整し、切削速度は変えない場合の負荷等高線グラフ。

Load-Contour-Graph_F-Opt.png
図2 切削速度一定で刃当り送りのみ調整した場合の負荷等高線

 これをどういう場面に使うかはあまり考えていないけど、主軸の最高回転数に達していて調整の余地が無い場合とか??


 最後に送りも切削速度も変えない場合の負荷等高線グラフ。

Load-Contour-Graph_Const.png
図1 切削速度・送り速度共に一定の場合の負荷等高線

 基本的には日立ツールさんの表をもう少し範囲と解像度を拡大しただけの物だけど、前回の記事に書いたように僕の使ってる計算式と日立ツールさんのとでは誤差がある事が判明しているので同等とは言えません。似たような物というか下手なトレースというかそんな感じ。

 切込み変えたら回転・送りも変えろと言っておきながらこれを載せるのは、切削関与角一定のツールパスが作れない場合に、その切削関与角の変動に伴う負荷変動がどれくらいあるのかといった事が分かるかも知れないと思って。そもそもその切削関与角の変動範囲をどうやって調べるのか知らないけど。

 まぁ情報として役立たずなものは捨てれば良いだけなので、たとえ意味無さそうな物でも無いよりはマシじゃないかなくらいに考えています。

 .....

 そんな訳で何か上手い活用方法があったら教えて下さい。

謝辞

 最後に、この2D等高線グラフを作成するにあたってググって見つけたこちらのサイトのチャートテンプレート(rainbow3DContor.crtx)を利用させて頂きました。お陰様でクソ面倒臭ぇ作業が随分と楽になり助かりました。篤く御礼申し上げます。

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posted by antec at 18:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 加工理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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