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2010年11月28日

高圧クーラント

 高圧クーラントは工具寿命や切屑処理において様々な効果があると言われています。私が使っている複合旋盤も7MPaのセンタースルーを備えているのでよくお世話になっています。特に小径ドリルの深穴加工ではこれが無いと能率がもの凄く低下してしまうので必需品ですが、他にも旋削の仕上げ加工におて大変に重宝しています。

 高圧ジェットのクーラントシステムと言えばあれですね、SandvikのコロターンHP。そう、これ使ってみたかったんですよ。でも残念な事にうちの機械はCAPTじゃないので付きません。他にはと言うとSeco ToolsのJetStream Tooling等もありますが、これも純正ホルダを改造しないと接続できません。

 そんな訳でして、自分で作りました。名づけてジェットクランプホルダ。ダブルクランプ+高圧ジェットノズルという方式です。見た目ゴツいのが少々恥ずかしいですが、ホルダも極力短くして剛性を高め、インサートのクランプ強度も従来の(ツーアクション式の)ダブルクランプと同等、それでいて新型ダブルクランプの様にワンアクションでインサート交換が出来、再現性も高いという優れモノです。
 ホルダの全長は75mmですが45度に傾けて使用する事で最大加工径は無制限(干渉無し)になっています。また勝手の無い両面使いですからノーズRの半分以下の切込み量の場合メインスピンドル側とサブスピンドル側で違う勝手のコーナーを使うとあたかもコーナー数が倍増したかのような効果が得られます。複合旋盤ならではの使い方じゃないかと思っていますが如何でしょうか。
KM40XTS-DCLNN12.jpg

 切れ刃の直ぐ近傍から高圧噴射されるクーラントの威力はなかなかのもので、ブレーカの効かない微小切込み領域でもプチプチと切屑を切断してくれます。これがなかなかに調子良い。

 勿論微小切込み領域で切屑処理性を高めたブレーカも各社から発売されていますが、どうしてもこういったブレーカは切削抵抗が大きくなりますから(無理矢理に切屑をカールさせるため致し方無い事ですが)私はあまり好きではありません。G級の研ぎ付けブレーカのように切れ味重視の流れるような切屑を出すタイプの方が切削抵抗が少なく、やべ、ちょっと太かった。あと0.005といった微小切込みでもちゃんと追い込めるので大好きです。所がこの手のブレーカの場合、切屑を分断するという考えは無く、決まった方向にスムーズに流すように設計されていますが、外掛けのクーラントがその切屑の流れを逆に阻害する事もあって厄介です。

 元々KMのバイトホルダには高圧センタースルーのノズルが付いていましたが、これが勢いの割に役立たずなんです。最初のうちはそんなモノだと思っていましたが、コロターンHPを見たとき、これはノズルが悪いんだという事に気付きました。遠くから拡散して噴射していては折角の高圧クーラントもその力の大半を撒き散らしているだけで、切屑やスクイ面にあまり効果的に機能して居なかったようです。勿体無いですね。

 自作したジェットクランプホルダのノズルは切れ刃の極近傍から噴射するので、切屑に対してクーラントの持つ力を最大限に利用できます。これによって今までどうにも処理出来なかったヒョロヒョロの切屑や、粘いニッケル基合金やアルミの切屑もかなり上手く処理できるようになりました。切屑がクーラントの力で処理できるとブレーカに頼らずに済むので、ゆったりとした低抵抗なインサートでもトラブル無く加工できる点は他には無い利点ではないでしょうか。

 勿論最初から上手く行ったわけではありません。ノズルの狙う位置や穴径、クランプ駒のデザインなど最初に作ったモノは完全に失敗作でした。それでも何とか完成度が高まってくると改めて高圧クーラントの威力を思い知らされました。と同時に高圧クーラントを活かす事の難しさも痛感した次第です。

 そんな訳でして、もし高圧クーラントを利用出来る環境にあれば是非ともおススメしたい訳です。勿論自分で作るとなると結構手間ですから、市販のモノの中で利用できる物があればそれに越したことはありません。といっても性能の方は私自身で確認していませんから、実際の所どうなのかは保証の限りではありませんが、私のような素人が見よう見真似で作った物よりは確実なのではないでしょうか。



 尚、Dorian Toolだけは日本国内では購入ルートが無いと思います。また国内メーカーで同様の物が無いっぽいんですが、どこかで作ってくれないんでしょうか?HSK-Tのツーリングだと競合メーカーが居なくて良いんじゃないでしょうか。HSK-T自体売れてるのか知りませんが。
 あとKennametalのBeyond Blastは今年のIMTSとJIMTOFで発表されたばかりの製品で、まだちゃんとしたカタログが公開されていません。製品が発売されているのかすら不明なので工具屋さんを通じて問い合せて頂いていますが未だ返事無しの状態です。

追記

 ちょっとコンセプトが違うので同列に並べるのも問題がありそうですが、近傍からのクーラント噴射という点でフジBCさんの製品もありかな?と思ったので載せてみました。まぁあちらは高圧クーラントを考えているわけではなく、MQLによるセミドライ加工をより効果的に働かせる為の物なので、高圧クーラントを繋いだ所で同様(切屑処理性)の効果が出るかどうかは定かではありませんが。

追記 2013.02

 リンク切れを修正しました。あとこっちの記事で取り上げたFETTEのPOINT-BLANKも折角なので表に入れておきました。

 それにしても国内メーカーからはこういったコンセプトのツーリングが一向に出てこないですね。上に載せた海外メーカーでさえまだ充実しているとは言いがたい状況の様ですが。近所の加工屋さんが新しく入れる複合旋盤のツーリングで、折角だから高圧クーラント対応の物にしようと思ったが、いざ実際に探してみると思うようなサイズの物が無いとボヤいていました。
posted by antec at 18:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旋盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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