2015年11月16日

続・スレッドミルの干渉量

 はじめに断っておきますが無駄に長いです。

 スレッドミル加工においては干渉の影響が無視出来ない事が分かりました。が、これを自前で計算して工具の登録データに反映させるというような運用は現実的ではありません。かと言って全く指標も無い状態でゲージを頼りに微調整をするという従来のやり方からは脱却したいので、全部ひっくるめて正しい補正値を導き出してくれるツールが不可欠です。

 そういうツールが在ればもはやユーザーがこんな事を気にする必要はなくなりますが、今のところそれを叶えてくれそうなのは OSG Thread Pro だけじゃないでしょうか。しかし残念ながら他社の工具には対応してくれないでしょうから、OSG以外の工具を使う為にはユーザー側で対処する必要があるのが現状です。

 現時点では自分はこれを算出する公式を知りません。仕方がないのでとりあえず限られた範囲について調べた値から、大凡の関係性についてだけ紹介したいと思います。干渉量に影響を与えるパラメータというのは例によってOSGの技術情報を引用しますが、

3.2 めねじ断面と工具刃先の動き

プラネットカッタは、刃部にリードのないねじ山が付いた回転体として作用し、干渉を伴ってねじを切削します。図7 にめねじのある断面におけるプラネットカッタのねじ部の動きを示します。干渉とは、めねじ断面よりも小さいプラネットカッタのねじ部が移動して、めねじ断面を形成することです。

 干渉量は、加工径、工具径、めねじのリード、めねじのねじ山角度の4つの要素で決まります。加工径と工具径が近くなると干渉が大きくなる傾向があり、所定のめねじ形状を加工するためには、プラネットカッタのねじ部のねじ切り取り高さをより小さく設計する必要があります。

OSG 技術情報「ねじ切りフライス」'12.04改訂版 P.5

 との事です。当面はメートルねじについてのみ考えていくので、ねじ山角度は固定して残り3つのパラメータを変化させ、干渉量がどのくらい変わるのかを調べました。干渉量の測り方としては工具径補正に反映させる目的から、ねじ断面における半径方向誤差 Er を用いました。詳しい事はこちらの記事を参照下さい。

リードの影響

 最初にリードの影響について見てみましょう。設定としては加工径と工具径を固定し、ねじのピッチを変化させた場合としています。

呼び径 D 20 20 20 20 20 20 20
ピッチ P 0.5 0.75 1 1.25 1.5 2 2.5
工具径 Dc 14 14 14 14 14 14 14
比率 Dc/D 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70
リード角φ[°] 0.46 0.70 0.94 1.19 1.44 1.95 2.48
Er [μm] 2.2 4.9 8.7 13.6 19.5 34.5 53.5

>ThreadMilling-Er_Lead-Angle.png
<図1> ピッチを変えた場合の干渉量の変化

 こういう場合リード量そのものよりもリード角で比べた方が良いような気がしたので、グラフの横軸はリード角にしました。リード角がきつくなると干渉が大きくなる事が分かります。

工具径の影響

 続いて工具径について見てみましょう。同一サイズのめねじに対して、使う工具の直径が変わると干渉量はどう変化するのでしょうか。

呼び径 D 20 20 20 20 20 20 20
ピッチ P 2 2 2 2 2 2 2
工具径 Dc 4.5 6 7.5 10 12 14 16
比率 Dc/D 0.23 0.30 0.38 0.50 0.60 0.70 0.80
Er [μm] 3.4 5.5 8.1 14.1 21.8 34.5 60.1

ThreadMilling-Er_Tool-Dia.png
<図2> 工具径を変えた場合の干渉量の変化

 工具径が加工するめねじの径に近づくにつれ、急激に干渉が大きくなる事が分かりますね。

加工径の影響

 最後に加工径ですが、同一の工具で加工するねじの径を変えた場合について調べました。

呼び径 D 14 16 20 24 30 36 48
ピッチ P 2 2 2 2 2 2 2
工具径 Dc 10 10 10 10 10 10 10
比率 Dc/D 0.71 0.63 0.50 0.42 0.33 0.28 0.21
Er [μm] 52.3 30.0 14.1 8.3 4.6 2.9 1.5

ThreadMilling-Er_Major-Dia.png
<図3> 加工径を変えた場合の干渉量の変化

 こちらも先程と同様、工具の最小加工径に近い程干渉が大きくなる事がわかります。工具径を変化させた場合にくらべるとやや変化がきつくなっていますが、これはこちらの設定の場合、工具径比率と共にリード角も増加するので、その分が加算されている為と考えられます。

 そこで今度は工具径比率もリード角も変えずに加工径を変化させてみました。全体的にスケールアップさせるだけなので何となく想像は付きますが...

呼び径 D 5 10 15 20 30 40
ピッチ P 0.5 1 1.5 2 3 4
工具径 Dc 3 6 9 12 18 24
比率 Dc/D 0.60 0.60 0.60 0.60 0.60 0.60
Er [μm] 5.4 10.9 16.3 21.8 32.6 43.5

ThreadMilling-Er_Scale.png
<図4> 全体の大きさを変えた場合の干渉量の変化

 そりゃそうですよね。

Thread Proとの比較

 Thread Proの売りの機能の1つである“加工するサイズと使用工具に合わせて、最適な「RPRG」を表示”という奴ですが、きちんと干渉についても考慮されているのでしょうか。そして僕が調べた値はThread Proと一致するのでしょうか。気になったので比較してみました。因みに調査に使ったThread Proのバージョンは v1.55 です。

 Thread Pro自身は Er がいくつであると表示してくれる訳ではないので、RPRG の数値から逆算して調べる事になります。基本的には RPRG はプログラム上の加工径(=ねじ呼び径)と谷底径との差を工具径から引いた値となりますが、そこへねじの公差による分と、干渉による有効径の拡大分を加えてあるはずです。

 公差の影響は公差位置系列 H の場合、下限は常に+0μmなので、狙い%を0%としておけば考慮する必要がなくなります。

 谷底径は工具の谷底切り取り高さが絡んで来ますが、基本的にはOSGの場合、めねじは H/12 としていると技術情報にあったので、その前提で計算する事にします。ただし実際にはThread Proで幾つか工具を選択すると、例えばPNCシリーズとPNGTやTMCシリーズとでは値が異なったりするので、もしかしたら工具の種類によって切り取り高さは異なるのかも知れません。工具毎の実際の設定値も不明なので、とりあえず工具はWX-ST-PNCに統一する事にしました。その為調査するねじのサイズも工具のラインナップに合わせた物となっています。

 そういった前提のもと、干渉を考慮しない時のプログラミング半径を RPRG_0 として次式より算出します。

RPRG_0 = { 工具径 - (谷底径 - 呼び径) }/2 ≒ ( 工具径 - 0.072P ) /2

 そして実際に表示される RPRG の値と RPRG_0 との差が、干渉による拡大を補正した分、即ち Er となると考えました。

Er = RPRG - RPRG_0

工具径を変えた場合

呼び径 D 16 16 16 16 16 16
ピッチ P 1 1 1 1 1 1
工具径 Dc 3 4.5 6 7.5 10 12
Er [μm](当方) 0.9 1.7 2.6 4.0 7.7 14.1
RPRG 2.213 2.965 3.716 4.970 5.976
Er (Thread Pro) -1.0 1.0 2.0 6.0 12.0

ThreadMilling-Er_Tool-Dia_comp-ThreadPro.png
<図5> 工具径を変えた場合の干渉量の変化

 Thread Proの方が全体的に2μmほど小さな値となっていますがその原因は不明です。僅かな差なので大した問題ではありませんが。その差を除けば、傾向はかなり近いようです。

ピッチを変えた場合

呼び径 D 14 14 14 14 14 14 14
ピッチ P 0.5 0.75 1 1.25 1.5 1.75 2
工具径 Dc 10 10 10 10 10 10 10
Er [μm](当方) 3.4 7.5 13.3 20.7 29.7 40.3 52.3
RPRG 4.996 4.986 4.975 4.976 4.982
Er (Thread Pro) 14.0 13.0 11.0 30.0 54.0

<ThreadMilling-Er_Pitch_comp-ThreadPro.png
<図6> ピッチを変えた場合の干渉量の変化

 ピッチ1以上はかなりいい感じに一致していますが、ピッチ0.5と0.75の場合は何なんでしょうか?

因みにピッチ1.5の時にWX-PNC(LIST41100)を選択した場合も RPRG がおかしいです。連続性がなく唐突に変な値を示す事は他にもあって、多分データベースの数値が間違ってるとかそういうレベルの物じゃないかと思います。

加工径を変えた場合

呼び径 D 10 12 16 24 42 64 100
ピッチ P 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5
工具径 Dc 7.5 7.5 7.5 7.5 7.5 7.5 7.5
Er [μm](当方) 49.9 22.5 8.7 2.9 0.8 0.3 0.1
RPRG 3.747 3.719 3.705 3.699 3.688 3.666 3.608
Er (Thread Pro) 51.0 23.0 9.0 3.0 -8.0 -30.0 -88.0

ThreadMilling-Er_Major-Dia_comp-ThreadPro_1.png
<図7> 加工径を変えた場合の比較 その1

 M24まではぴったりだったのに、それ以降が全くおかしいです。原理的に言ってErがマイナスになる事はありません。数μm程度であれば計算誤差も考えられますが、ここまで大きなマイナスの値となるのはどう考えてもおかしいです。この事は過去にコメント欄(訂正 こちらの記事でした)でも指摘しましたが、加工径のスケールファクターの扱い方が間違ってるんじゃないでしょうか。

 また同じような比較をちょっとねじのサイズを変えた場合で見てみるとこんな具合となりました。

呼び径 D 8 10 12 16 24 42 64 100
ピッチ P 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
工具径 Dc 6 6 6 6 6 6 6 6
Er [μm](当方) 7.0 2.8 1.5 0.7 0.3 0.1 0.0 0.0
RPRG 3.000 2.996 2.994 2.993 2.990 2.976 2.948 2.874
Er (Thread Pro) 18.0 14.0 12.0 11.0 8.0 -6.0 -34.0 -108.0

ThreadMilling-Er_Major-Dia_comp-ThreadPro_2.png
<図8> 加工径を変えた場合の比較 その2

 図6の時にもそうでしたが、ピッチ1未満(正確な境界線は不明)の場合に当方の計算と合わなくなります。最初はここも計算がおかしいのかなぁとか思っていましたが、そうではなく、もしかしたら細ピッチになると工具の谷底切り取り高さが変わってくるのかも知れません。


 というわけで Thread Pro の RPRG の値は一部不正確と思われる物があるので注意が必要です。まぁ僕もよく間違えるので人の事言える立場じゃ無いんですけど:-P

 データベースの間違いと思わしき物については、同一径の工具が他にあれば、そちらの数値と比較する事である程度発見出来ます。しかし大径の細目ねじの場合についてはアルゴリズム上の問題と思われるので修正を待つしかありません。当面比較的大きな径のネジを加工される際には気を付けた方が良いと思われます。

 それらの問題点を除けば、基本的にはきちんと干渉の影響を考慮してくれているようなので、そこは期待していた通りです。RPRGの代表値を工具に記載するというやり方では、加工径との関係で値が変化する事に対応出来ないので、Thread Proの様なツールはスレッドミル加工に於いては不可欠な存在だと思います。今後のバージョンアップには大いに期待しております!

まとめ

 RPRG を正しく計算するためには大前提として、工具のねじ山形状が実際にどうなっているのかを正確に知る必要があります。工具メーカーさんは設計図を持っているから問題無いでしょうが、ユーザーには細かい所の寸法までは公開されていませんので、自作しようと思うとどうしてもそこがネックとなります。一方で工具メーカーさんが提供するツールに頼っていては、対応工具が限られてしまうので気に入った工具が使えません。ですので今後は工具を実測する手軽な方法についても考えて行きたいと思います。

関連記事

posted by antec at 22:23 | Comment(1) | TrackBack(0) | ねじ切り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月14日

スレッドミルの『RPRG』に関して

 態々面倒臭い事しなくても出来合いのものを使えばいいじゃんとは思うのですが、実は納得行かない所があるので面倒でも自分で何とかしようとしております。

 昨日のスレッドミルの干渉量にも関連する事ですが、最近調べてて知ったのですが、実は結構色々なメーカーが工具シャンクに「RPRG (*1)」を記載しているようです。聞いたことのあるメーカーではOSG以外にも SandvikWalterDORMERなどがありました。

 ただし基準としている径がメーカー毎に多少異なるようです。

  1. RPRGは参考値です。実加工においては、加工環境により変わります。試し加工の上決定下さい。
  2. メートルねじ用はISO:5H(旧1級)、ユニファイ用はANSI:3Bのめねじ精度に最適な数値を設定しています。管用テーパ(R・Rc)は、当社HPにて配付している「NCプログラム作成ツール」をご利用いただいた時に有効となるRPRGを設定しています。
  3. プラネットカッタⓇの工具径に対し、「最小加工径(工具径に対して、加工 できる最小のめねじサイズ)」を基準に算出した値です。「最小加工径」以外のサイズを加工する場合は、RPRGより小さい数値が必要となります。
  4. 2014年11月生産分より適用となります。

OSG スレッドミルシリーズ Vol.11

Rprg. は、CNC プログラムで使用した際に計算によりねじ公差の最小値が得られるように定義されています。GPS によりCNC プログラムを作成した場合、選択したねじ公差の公差中心を達成できる修正量が表示されます。Rprg. からこの修正量を減じる必要があります。続いて修正されたRprg. をCNC 制御システムに入力します。

Walter 製品ハンドブック ねじ切り加工

Rprg is based on the theoretical Zero-line of the thread. This means that when you work with Rprg the thread is never too large but very tight, normally too tight. You have to add a small amount afterwards in order to find out the correct tolerance for your Nominal Thread Diameter. Check with a gauge. If you use the Web Selector to generate the CNC-programme, you will get a recommendation of how much to adjust the Rprg value to get the selected tolerance. Remember a smaller Rprg value gives a bigger nominal thread diameter.

DORMER Carbide Thread Milling Cutters

 OSGは5H精度に最適な値と言っていますが、最適ってどの辺の事を言っているのかこれだけれははっきりしません。カタログに載っているWX-ST-PNCの3.681という値を Thread Pro で確認してみると、5H精度の90%となり、結構上限一杯なんですが大丈夫なんでしょうか?

 またOSGのカタログには、シャンクに記載されている数値は、その工具における最小加工径での数値であって、ねじ径が大きくなった場合には RPRG はより小さな値としなければ成らないとありますが、その場合 RPRG をどのくらい小さくしたら良いのかについては教えてくれません。

 一方WalterとDORMERは下限一杯と言っておりますが、加工径との関係についてはどこに書いてあるのか分かりませんでした。本当に記載されていないのか、それとも単に自分が探しだせなかっただけなのか不明ですが、OSGのように分かりやすく書いてくれないと不親切じゃないでしょうか。

 何れにしても加工径との関係で RPRG の調整が必要な事は確かなのですが、その調整の仕方が不明なので結局これじゃゲージで見ながらやるしかないじゃん、と思うわけですよ。

 なので Thread Pro の様に、関連するパラメータを全て加味した上で最適な値を自動的に算出してくれるツールと言うのは実に画期的な事だと思います。スレッドミルのプログラム作成ツールは多々ありますが、RPRG を都度計算して示してくれる物は他には知りません。

 じゃあやっぱり Thread Pro で良いじゃんと思うでしょうが、実はそうでは無いのです。と言うのも、Thread Pro が算出する RPRG には若干間違いが有るように思えるからです。


 続く


注記

*1 RPRG(プログラミング半径):工具半径補正値。一般的なスレッドミルによるめねじ加工プログラムは呼び径基準で作成されている為、実際の工具半径値で工具径補正を掛けると必要なサイズよりも小さなめねじが出来てしまう。正しい有効径となるように加工する為には、工具の谷底切取り高さおよび干渉による有効径の拡大量を考慮した補正を加える必要がある。その目安となる値が RPRG。


posted by antec at 21:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ねじ切り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月13日

スレッドミルの干渉量

 ねじの加工に関する話題が続きますが、スレッドミルによるねじ切りの際に考慮しなければ成らない事として、工具の干渉によるねじ溝の拡大があります。これは先日も紹介しましたが、OSGの技術情報にも下記のように説明があります。

3.2 めねじ断面と工具刃先の動き

プラネットカッタは、刃部にリードのないねじ山が付いた回転体として作用し、干渉を伴ってねじを切削します。図7 にめねじのある断面におけるプラネットカッタのねじ部の動きを示します。干渉とは、めねじ断面よりも小さいプラネットカッタのねじ部が移動して、めねじ断面を形成することです。

 干渉量は、加工径、工具径、めねじのリード、めねじのねじ山角度の4つの要素で決まります。加工径と工具径が近くなると干渉が大きくなる傾向があり、所定のめねじ形状を加工するためには、プラネットカッタのねじ部のねじ切り取り高さをより小さく設計する必要があります。

OSG 技術情報「ねじ切りフライス」'12.04改訂版 P.5

 自分の場合、スレッドミルで加工するのは主に細目ねじであり、工具径比率も然程大きくないので、この干渉の事は無視しても実害は無い。が、この先もずっと無視出来る物しか加工しないとは限らないので、やはり何とかして干渉量を算出出来ないか調べている所です。

 「干渉量は、加工径、工具径、めねじのリード、めねじのねじ山角度の4つの要素で決まります。」との事ですが、その具体的な算出方法については説明がありません。他でも色々と調べてみてはいるのですが、さっぱり見つかりません。

 他に参考になりそうな資料として、Effect of Thread Milling Penetration Strategies on the Dimensional AccuracyJ. Manuf. Sci. Eng 133(4), 041014 (Aug 16, 2011) (13 pages)がそれっぽかったので$25払ってダウンロードしてみましたが、微妙に論点が異なりました。そして残念ながらこちらにもズバリな計算式は載っていませんでした。

Thread-Interference.png
<図1> 食い込み部分(先の資料のFig.4の模写)

 公式は分かりませんでしたが、要するにこの図で食い込みとしている部分の、ねじフランク面からぽこっと飛び出た所の高さを何とかして求めれば良いという事は理解しました。

Thread-Interference_section.png
<図2> 最大食い込み部の断面

 断面で見るとこんな感じですが、ここで知りたいのはねじの有効径への影響なので、法線方向の距離ではなく半径方向の距離(Er)を求める事にしました。

 さてここで、もし工具のねじ山の角度が加工するめねじの物と同一になっているとすると、Erは外径側の方が大きくなりますが、市販のスレッドミルはそれを見越してねじ山の角度を補正してあるらしいので、有効径辺りでの値を求めておけば良いんじゃないかと思います。

 一方軸方向から見た場合のErが最大となる位置の求め方が分かりません。仕方がないので、ひとまず工具輪郭上の点を適当な角度ピッチでプロットし、それをねじ山断面に投影して個々の誤差量を算出していけば、どこかにそのピークが見つかる筈と考えました。それをグラフ化した物が次の図です。モデルはM10×1.5、工具径φ7.5としました。

Thread-Interference_Radial-Error.png
<図3> 半径方向誤差 Er

 この場合、-14°くらいの所が最大となって、その半径方向誤差は0.05くらいでした。合ってるかな?

 M10×1.5-6H の有効径公差は 180μm ですから、干渉による影響が直径で約100μmもあるというのは到底無視出来ません。となるとやはりスレッドミルにて正しくねじ切りする為には、干渉の影響もきちんと考慮せねば成りませんね。

 ここまで分かれば後はこのグラフを微分して解けば良さそうですが、それはちょっと僕の頭じゃ難しいです。なのでとりあえずはソルバーを使って最大値を求めるか、あるいは今回のように適当な角度ピッチで計算したテーブルからMAX関数を使って最大値を求めるという方法でやってみようかなと思います。ちょっとダサいけど。

 干渉の影響が正しく勘案出来るようになれば、漸く目標としているスレッドミル加工プログラム作成ツールが出来上がりそうです。

 態々そんな事しなくても OSG Thread Pro で良いじゃんと言われると確かにそうなのですが、個人的にはやっぱり自分の好きなスタイルでプログラム組みたいので。


posted by antec at 22:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | ねじ切り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月05日

メートルねじ公差確認ツール更新

 前回のツールは基本的に間違っている事が直ぐに判明しましたが、ではどう直したら良いのかというのがなかなか見つからず時間が掛かってしまいました。一応ISO 965-1も読んでみましたけど、書いてある事は基本的に変わらないのですね。

 漸くですが、多分これでJIS B0209に準拠出来たんじゃないかと思います。まだ若干不安な部分も無くはないですが。

主だった変更点は

  1. 表から辿れる物は表の値を、そうでない物は公式から算出する
  2. 数値の丸めをJIS Z8401に従って行う
  3. 規格外の判定を適当に直した

 問題は 3. の判定部分ですが、

与えた公式に従って計算した値が,推奨する公差域クラスとして表になっている公差グレードTdの値を超える場合には,表6にTd2の値を掲げていない。

JIS B0209-1:2001 13.4.1 おねじ有効径の公差 (Td2)

 若干意味不明。要するにグレード6の外径公差を超えないようにと解釈すれば宜しいんでしょうか。

 これに伴い、旧版は削除しました。

以下簡単な機能説明

 メートルねじの有効径・外径・内径の、ISO等級に基づく許容限界寸法を求めるExcelブックです。

 呼び径はM1〜M355までの範囲に対応し、ピッチについては自由に設定できます。

 基本的にはJIS B0209の表を辿って公差を求めますが、そこに載っていない場合には公式から算出するので、特殊なサイズにも対応しています。

Thread-Tolerances-Checker_Rev3.png
スクリーンショット

posted by antec at 12:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ねじ切り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする