2015年08月06日

自己校正

 5軸加工機や複合旋盤などの多軸加工機は、一度の段取りで多方向からの加工が行えるのでとても便利な機械なんですが、その分精度管理は立MC以上に重要だと感じています。やっぱり計算上の座標だけで加工して寸法出て欲しいですから。

 特に精度物を量産しようと思うと、回転軸中心の座標計測はメンテナンス的な頻度では不十分で、インラインでの自己校正が欠かせないと思います。

 一応昨今は工作機械メーカーが自動計測・校正の為の治具とマクロをセットにして用意してくれている事が多いので、多くのユーザーは最低限のメンテナンス的な校正は比較的簡単に行えていると思います。しかしながら実務の中で使用するには少々不便な所もあって、個人的にはあまり実用的で無いと思っています。

 とりあえずここまで全部個人的な感想です。

 そういう訳で、日々の加工の中で利用する為には、こんな所が改善される必要があるんじゃないでしょうか。

  • 特別な治具を必要としない
  • いつでも好きなタイミングで計測出来る
  • 計測に要する時間が極わずか
  • 干渉等の危険が無い
  • 積載物の事を特に気にする必要が無い
  • タッチセンサーの精度に影響されない
  • 計測ミスを判断出来る

 他にも何かあるかな?

 全部を完璧にクリアするのはちょっと難しいかも知れないけれど、機械メーカーが設計の段階から考慮してくれると理想が叶うんじゃないかと思う物もいくつかあります。


 そんな訳で理想にはまだちょっと程遠いけど、個人的にはそこそこ実用的になったかなと思われる物を構築して半年ばかり運用しております。流石に中身はちょっと此処では明かせませんが。

 さて、自分の担当している5軸MCの方は良いとして、もう一台何とかしたいなぁと思っていたのがインテ。自分も別の複合旋盤を使っているので何となく感じていますが、複合旋盤は5軸MC以上に精度管理にノウハウが必要なように思います。

 あとやっぱりインテの難点はMAZATROLですね。何かしたいと思ってもMAZATROL上では出来ない事が多々ある上に、マクロの方からMAZATROLをコントロールする事も出来ないっぽいので、そこら辺の整合性をどう取るかが悩みの種です。最終的にはMAZATROLに見切りをつけて、計測から何から全部独自マクロを組むしか無いんじゃないかとは思っていますが...自分の担当ではない機械なのでそこまで押し付けるのもどうかと思う所も無くはないのでちょっと躊躇しています。ただ幸いな事に既に加工プログラム自体はCAMから吐いたGコードでほぼ全てやっていて、対話で加工する事は余程のことがない限りまず無いようなので、環境としては結構整っている様にも思う。

 それでもまぁ切羽詰まれば何とかするしか無いので、今までのやり方では精度管理が難しい案件が来た事もあって、今回ちょっと面白い計測方法を取り入れてみました。先程と同様これの中身も此処では公開出来ませんが。

 正直タッチセンサーの精度にもちょっと不安な所がありましたが、今回編み出した方法だと狂ってても特に影響を受けない所が実に画期的。

 実際にそれで自動校正しつつ加工した物を測ってみると、ちょっとインテらしからぬ精度が維持出来ている模様。これはなかなか!

 それに伴って、現在どれくらい補正が掛かっているのかも作業者が確認出来るのも良いですね。やっぱり精度の必要な物を加工する為にはまず作業者が様々な誤差について意識を傾ける事が必要ですから。

世間様の

 話は変わりますが機内計測としてはRENISHAWにSPRINT™という画期的なスキャニングシステムがあります。

 特にこれを使った「MTM (複合加工機)ツールキット」や「機械の状態チェックアプリケーション」は必見です。

 但しいかんせんシステムが複雑で高額なのが難点です。原理的には機械の光学スケールの信号を併設したPCからも取得出来るように配線し、スキャニングプローブの信号と合わせて処理しているのだそうです。なんとも贅沢な構成ですね。

 因みにスキャニング中は従来のタッチプローブで行っていたような、スキップ信号を元にした処理をNC側では行えない為、形状不明なワークに追従する倣い測定までは出来ないとの事でした。私が説明を聞いた時点(JIMTOF2014)では。

 昨今のNCはWindows Embeddedな物が多いですから、その中で処理出来るようになると機内計測の可能性がぐんと広がるんじゃないでしょうか。そうなってくれるのを願うばかりです。


posted by antec at 21:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 工作機械 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする