2015年01月31日

真鍮ドライタッピング

 特にネタが無いので技術の森から。

 止りゲージが通ってしまうという状況は、ねじの山が痩せてるか、谷が広がってるかのどちらかでしょう。

 タップ加工でそういうトラブルが起きる原因としては、ピッチがズレる、溶着してねじ山を潰してしまうなどがありがちで、今回の場合もタップ先端にリング状に溶着しているとの事なので、まぁそんなもんでしょうね。

 溶着対策の基本は潤滑なので、ドライを止めて油掛けろと言いたい所ですが、まぁそれが出来ない理由があるようなのでドライで頑張ってみましょうか。

 切削条件としてはS1000min-1(切削速度で12.5m/min)らしいので特別おかしな条件ではないですね。ドライなのでもうちょっと遅くしても良い気はしますが。下穴不良とかピッチずれ等の問題が起きていないかは確認が必要ですが、そこは窺い知る事が出来ないのでとりあえず問題無いという前提とします。


 次にタップの選定ですが、まずどうしてこういう質問をする時に現状何を使ってるのかをちゃんと書かないのでしょうかね?

 とりあえず現状上手く行っていないタップが何であるかは不明ですが、特殊サイズなので選択肢がそう多くは無い様ですから、とりあえず標準品でサイズがある物だけでも洗いだしてみましょう。

OSGYAMAWA
EX-POT
HT
NT
EX-SFT
HRT
B-HRT
SP(N-SP)
SP-OX(N-SP-OX)
PO(N-PO)
HT
N-CT LA
N-CT FC
N+RZ/N-RZ
N+RS/N-RS

 面倒なので大手2社のカタログしか探しませんでしたが、そこそこ有るようです。

 この中だとウェットならYAMAWAのロールタップ一択でしょうけど、ドライとなるとちょっと心配ですね。潤滑性の面で。コーティングがあればやってみる価値はあると思うのですが...

 そんな訳で切削タップの中で選ぶとすると、貫通という事なので普通ならポイントタップを選ぶ所でしょうけど、常識的に考えて、こんな所に質問する前に既にやってますよね。

 という訳でEX-POTも除外して残った物の中だと、ちょっと気になるのがYAMAWAの超硬ハンドタップ。

 あ、因みに僕はスパイラルは絶対に使いません。100%折る自信があるので。

 YAMAWAの超硬ハンドタップに非鉄用の『N-CT LA』 と鋳鉄用の『N-CT FC』 の2種類がありますが、真鍮にはどちらかと言うと鋳鉄用の方が合うような気がします。本当の所はYAMAWAに聞いてみないと分かりませんが、何となくすくい角的な所があまりついて無い方が良さそうに思うので。それぞれ何度すくってるのか知りませんけど。

 もっとも、あまり深いようだとハンドタップでは切屑詰まって大変かも知れません。その場合はポイントタップしか選びようが無い感じがします。


 さて、原因は溶着なので、出来ればここにコーティングをしたいですね。

 真鍮用のタップには普通TiCN系のコーティングを使う事が多いと思いますが、今回はドライ加工という条件なのでCrNの方が良いかも知れません。その辺の選定はやはりコーティングの専門家に相談した方が間違い無いと思いますが。

 コーティング屋さんは全国各地にありますし、ネットで検索すれば何社も見つかりますが、やはり切削工具の事やタップ加工の事をよく分かっている所に相談してお願いしたいです。となると依頼するのは

オーエスジーコーティングサービス

 じゃないでしょうかね。数量も1本から受けてくれるそうですし、納期も到着後4日目発送体制との事なので特に問題は無いでしょう。

 YAMAWAのタップをOSGに依頼するという所に気兼ねが無ければ。


 コーティング前提で考えるなら、先の超硬ハンドタップの他にはYAMAWAのN+RSでも良いかも知れません。OSGのHRTは流石にちょっと今更使う気が起きないです。NRTなら話は別ですけど。


 コーティングだけなら外注でも間に合うと思うので標準品サイズの中で選びましたけど、特注でも良いのなら、あるいはM4x0.5みたいな変なサイズじゃなく、普通にあるサイズのねじで真鍮にドライタッピングしたい場合なら何を選ぶでしょうか。

 自分ならやっぱりロールタップから試してみると思います。OSGならVP-NRTとかS-XPF、場合によってはCU-NRT。YAMAWAならOL+RZとか。それでダメだったら、やっぱりメーカーさんに相談しますね。

 OSGにもYAMAWAにもフリーダイヤルの相談窓口がありますし、自分も過去に相談した事ありますけど、両方とも凄く適切なアドバイスをしてくれました。技術の森なんかで聞くよりも早くて確実ですよ。



 ところでどうでも良い事ですけど、止まりゲージが通るようになってしまった製品をどうやって手直しするのか、ちょっと気になりますね。普通に考えたら山が飛んだねじなんてもうアウトだと思うのですが...

タグ:工具

posted by antec at 13:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ねじ切り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月15日

これは凄い

 久々にemuge.deのウェブサイトを見に行ったら何かすげーのが出てた。

 EMUGE PUNCH TAP

 やっぱりドイツ人って面白い事考えるなぁ。


 でも神経質な日本人にはこういうねじ穴は使えんだろうな。


 アルミ鋳物向けらしいけど、うちにもダイカスト製品が結構あるから実際に試して見たい気もするけど、ちょっと工具買ってくればすぐ使えるという訳にはいかなさそうなのが難点。


 最近あまり海外メーカーをチェックしてなかったから、また探してみよう。JIMTOFでも面白い製品ちらほら有ったし。

タグ:工具

posted by antec at 22:34 | Comment(2) | TrackBack(0) | ねじ切り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月14日

ポキッ

 5軸加工機でLANGのバイスとか使ってぐるりんしたは良いけど、その掴んでた部分って邪魔臭いですよね。

 そう言えば昔ドイツ人に「そんなもんジャーンと切ってポキッとやって、ちょちょっと仕上げりゃお終いよ」って言われたのを思い出してやってみた。

Leftover-Material.jpg
残骸

 一工程でお終いって楽で良いですね。

 最初に聞いた時は内心えれーいい加減だなーとか思ってたんですけど、確かにこれで仕上がるならこんなに安上がりなものは無いですね。

 ドイツ人の言うことはちゃんと聞くべきだなぁと思った次第。

タグ:5軸加工

posted by antec at 20:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記・雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月09日

適切な刃数とae

 お久しぶりです。だいぶ閑散としてきましたが皆様如何お過ごしだったでしょうか。

 唐突ですがスパイラルエンドミルにおいて軸方向の適切な切込み量はACPを基準に設定すれば良い事は以前に書きましたが、ではそういうのが出来ない時にはどうしたら良いんでしょうか。例えば加工深さが浅い時とかスローアウェイの工具を使う時などはACPを1に近づける事が不可能ですよね。その場合、他の部分で調整する事は出来るんでしょうか。

 半径方向の切込み量が小さい時には、工具のどの刃も被削材に触れずに空転している時間が生まれます。こういう時の切削音は叩くような感じになってあまり良くないのは何となく分かりますよね。では切削幅を増やしていって常にどれかの刃が削りっぱなしになるようにすると、実際に負荷変動は抑えられるのでしょうか?

 こういうのは一応昔からフライスの教科書にはフェースミルを題材にして「同時切れ刃数」がどうのこうのという内容の事が書かれておりまして、まぁ要するにそれです。

 具体的に何がしたいかというと、工具が一回転する間に受ける切削抵抗の変動がどんなもんなんだかを可視化し、それが刃数や切削幅でどう変化するのか比較し、変動の少ない条件を探してみようという事です。切削抵抗の変動幅が少ない方が加工が安定するだろうという、至極単純な理由からです。

 ゆくゆくはねじれ角等も考慮してエンドミル系の工具全般をカバーしたい所ですが、とりあえず面倒臭かったので一旦それは置いておきます。高送りカッタなどであれば特に問題は無いと思いますし。

想定モデル

  • 刃先に掛かる接線方向の力は「切屑断面積×比切削抵抗」だろう。
  • ねじれ角を無視すれば、切屑断面積は「軸方向切込量×切屑厚み」だろう。
  • 比切削抵抗は切屑厚みが変化すると変わるらしいので(*1)、一応それも考慮する。
  • 同時切れ刃数が2以上となった場合にはそれぞれの刃に掛かる力を総合する。

 こんな感じの事を考えて、とりあえず5°刻みくらいで計算して、切削している刃の分だけ足してみればグラフ化出来んじゃね?と考えました。

 刃数はよく使いそうな2〜6枚刃として、径方向の切込み量を変化させながら、それぞれの切削抵抗の変動の仕方を見比べてみようかなという事で描いて並べたグラフが次のものです。

HighFeed_CuttingForce_Graph.gif
図1 負荷変動の様子(想像)

 ちょっと紙面の都合でアニメGIFにしてしまったので環境によっては見辛いかも知れませんがごめんなさい。詳しく見たい時にはGiamとか使って必要なコマだけじっくり眺めて下さい。

 一応比較的負荷変動の少ない所というのは無くは無さそうですが、スパイラルエンドミルで丁度いいACPにした時の様な訳には行かなさそうですね。

 まぁちゃんと確認していないのであまり鵜呑みにはしないように。


posted by antec at 23:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 加工理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする