さて、取り敢えず負荷の方は概ね目論見通りとなりました。まぁS45Cは基本鋼種なのでこれで当てが外れてたら恥ずかしいです。
あと工具メーカーの標準加工条件は15分寿命を基準に設定されてるのが一般的ですが、それも大体その通りだったのでセコの条件表も信用しても良さそう?
で、使用したF40Mという工具材種は万能選手な位置づけで、何にでも対応出来るのは良いのですが鋼にはやっぱりデュラトミックの方が性能上なわけでして。それに2800rpmだとV33の低速側の最大出力に届かないので、もうちょい回転数を上げる為にもMP2500辺りに替えた方が良さそうですね。特に今回のような不安定要素の無い加工であれば十分その能力を発揮してくれそうです。或いはAdaptive Clearingで負荷変動の少なさも確認出来たのでより高耐摩耗なMP1500でも良いかもしれません。
それとは別にして、15分寿命というのはやはりちょっと短い気がします。1個当たり約6分の加工時間なので3個で寿命という事に。これじゃちょっと忙しい。
そんな訳で次は工具寿命の延長を検討してみる事にしました。なのでタイトルも変更。
よく工具費は生産コストの5%以下しか占めないから云々というのはちょっと当てはまらない所があるダメ工場なので、取り敢えず倍くらいを目指して調整してみましょう。
加工方法を大幅に変えても良いのですが、そうすると結局超硬ラフィングが最適じゃんという話になってしまうので、ここはひとまず切削速度のみ変更する所から。
いやまぁ本来なら生産性を上げながら工具寿命も改善するといった事をせにゃならんのでして、ここでやってる事は手段と目的が入れ替わってしまってるのは重々承知しておりますけども。
さてさて、切削速度と工具寿命の関係と云えば「テイラーの寿命方程式」っすね。 VT^n=C
肝心の指数 n の値が不明なので適当に検索してみますと、例えば
● 切削速度による影響
- 切削速度を20%上げると工具寿命は2分の1、切削速度を50%上げると工具寿命は5分の1に低下する。
- 切削速度が低い(20〜40m/min)低速度側でもびびり振動が発生しやすく、工具寿命は短くなる。
という様なのが見つかります。同様にサンドビックの総合カタログにも
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サンドビック 総合カタログ2011 A235 より引用
という表が載っております。表記の仕方は違いますが、どちらも略同じ関係を表しています。
然しながら両者とも旋削用の資料ですので、転削にもそのまま当てはまるのか些か疑問。ですが他にこれといった資料が見つからないので取り敢えずこいつを信じてやってみる事にしましょう。あとは実際に削ってみて工具寿命がどう変化するのか確認してみれば良い事ですから。
寿命を2倍に伸ばすにあたって
工具寿命を2倍にしたいのだからサンドビックの補正値表に従って切削速度を 84% に下げれば良い?
工具寿命を時間で管理するならそうでしょうけど、僕の気持ちとしては使える時間を15分→30分としたいのではなく1コーナーで加工できる数量を3個→6個にしたいので、加工時間の遅延分も加味しないといけませんね。切削速度を下げる=送り速度も同様に下げるのが基本ですから、時間ベースでの寿命が倍に伸びても加工できる数は倍まで届きませんので。
つまり仮に先の相関が正しいとして、また切削速度を下げた分だけ生産性も落ちると考えると、切削速度を84%に落とした場合に数量ベースでの工具寿命は 2 * 0.84 ≒ 1.7倍 にしかならない事になります。これじゃちょっと足りないですね。
表では75%で寿命3倍となってますから 3 * 0.75 ≒ 2.3倍。これじゃ逆に行き過ぎなので間を取って 80% で多分 2.5 * 0.8 = 2倍 くらいかなぁと推測。
ただ、先程の三菱マテリアルのVT線図を見ると、V*1.2でT*1/2やV*1.5でT*1/5というのはUTi20Tがまさにそんな感じですが、それに比べてコーテッド超硬の傾斜はちょっときつい様に見えます。これはつまり速度を上げても寿命の低下が少ないって事ですよね?コーティングの耐熱性だとかの影響でしょうか。
それとやはり転削という点。断続加工なので空転時には冷却される事から、刃先温度の上昇が旋削に比べて緩いのではないかという気がします。
それらを勘案すると切削速度を80%に落としたくらいじゃ加工可能数量が2倍まで増えてくれない気もします。ざっくり見て70%くらいは必要でしょうか?まぁこちらはかなり当てずっぽうなので取り敢えず最初は80%の方で。
それに70%まで落とすと刃先温度不足による凝着が出てきそうな感じがします。そこまで行ってしまうと逆に工具寿命の低下を招きかねません。その点でもこれ以上の周速低下は避けたい所。まあこういった問題は本来あるべき姿とは逆の事をしようとしているが故です。
グダグダ書きましたけど、以上から加工条件は
S = 2800 * 0.8 = 2240 rpm
F = 750 * 0.8 = 600 mm/min
でどうなるか見てみる事にしましょう。
一応これでCAM上での加工時間は5分40秒から6分55秒に伸びました。セオリーからは真逆の対応ですがこの方が少し手が離せて良いので。
とりあえず次のロットでないと試しようがないので、結果はまた後日。
来月また注文来てくれるかなぁ?
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